いろいろ試行錯誤を続けてきましたが、なかなか思うような身体の動きにならず、当然ボールもそんなに速くもなっていません。さらに思った以上の老化という大きなリスクも抱えてしまったようです(笑)
そんな中でもいろいろやっているうちに気がついたこともあります。ありがたいアドバイスもいただけています。そして今回重要なことに気がつきましたので、それについてお話したいと思います。
肩甲骨だ!
速いボールを投げる、強いボールを投げるには身体を上手に使う必要があります。いくら投げるのは腕だと言っても、その力はたいした力ではありません。特に外国人に比べて体格、筋力で劣る日本人が速くて強いボールを投げるためには、身体全体を上手に連携させてその動きをボールに伝えることが重要になります。
胸を張ること、人体の中で最も力のある関節である股関節を使って体を回旋させることなど などが連動されると、腕が強く早く振れることになりますね。
私の投げ方ではなかなか胸を大きく張ることが出来ません。どうやった胸がはれるだろう?とずっと考えていましたが、単純に大きく腕を後ろに引こうとするだけでは胸を張るという動作にはなりませんでした。
身体の固さが原因か?それなら仕方ないと諦めるか?などとも考えてみましたが、ボールを速くするためには少しでも胸を張る動作を入れる必要がありました。そしてボールを持たずに肩の動きを確認していた時に、「ん、肩関節ではなくて肩甲骨を内側に引くことによって胸を張る動作が出来るじゃないか」と気が付きました。さらにグラブ側の肩甲骨も同じように内側に引くことで、胸はさらに張れることになります。
肩甲骨を内側に引く動作で腕は後方に引けます。そして肩甲骨を下に下すことによって腕は体側に引き付けられることにも気が付いたんです。この二つの動作が肩甲骨の動きで出来るのであれば、その間は腕に力を入れる必要がなく、それに続くリリースに力を集中させることが出来ます。
たぶん身体の柔らかい人はこんなことを意識する必要はないと思います。意識しなくても出来てしまうことなのかもしれません。日本を代表するピッチャーの投球フォームを見てみると、みんなすばらしい胸の張りでボールを投げています。
腕の力だけに頼った、さらに身体の固い私のようなピッチャーが、胸を張って投げることをする場合、「胸をもっと張って投げろ!」と言われても出来ないんです。それなら「肩甲骨を寄せるように意識してみろ!」「グラブ側の肩甲骨も一緒に引き寄せてみろ!」と言われると、胸を張るという動作がきちんと意識されるようになります。このアドバイスだけで出来るほど簡単なことではありませんが、意識しやすくなることは事実だと思います。
胸を張るという意識で後ろに引かれた腕を引き下ろしていく時にも、「腕を体側に巻き付けるように引き付けろ!」と言うよりは「肩甲骨を下に下すようにしろ!」と指示されるほうが、同じ動作ですが私には分かりやりやすくなります。言葉って難しいですが面白いですよね。
そして人体の中で最も大きな力を発揮する股関節を使って、身体を回旋させるようにすれば身体全体の力を使ってボールが投げられるようになるはずです。
これらの動きは一つ一つが別々に動くものではありませんので、最初の肩甲骨の引き寄せが出来ると、その後の動きは自然とそうなってくるはずです。なので良いピッチャーのフォームは理にかなったものになっているんですね。
入口が決まると出口が決まる
この言葉は何度も西村さんから出てきた言葉ですが、今回の肩甲骨の動きを見てもそうなっているようです。ただ出来る人は肩甲骨の動きを意識をしなくても出来る。これはあくまでも私のように腕の力に頼ってなげる、それも腕の外側の筋肉を使うので、腕が身体から離れてしまうという悪い癖のあるピッチャーが、それを少しでも改善しようと思う時に意識すると、思っていない効果が出ることがありかもしれません。
ピッチングの動画を見てもらいましたがどうでしょうか?いつもより腕のスイングが力強く、そして速くなっているような気がします。そしてボールもいつもより速いような気がします。ただ肩甲骨の動きを意識しただけですので、そんなに胸の張りが大きくなったとは思えません。固い肩甲骨もそんなに簡単には動いてもくれていません(笑)
今回の「肩甲骨」は、私が肩の動きと胸の張りを意識するのには「肩甲骨を動かす」が一番分かりやすかった言葉です。肩甲骨の柔らかい人は意識しなくても出来ているこちかもしれませんし、ここを意識すると腕が後ろに入りすぎてしまって、かえってボールが行かなくなるかもしれません。その人によって意識しやすい言葉は違うはずです。そのやり方が正しいかどうかはボールが教えてくれます。
ただ横で見ている弘瀬拓生先生も、いつも受けてくれている先輩も「いつもとは違う!」という反応をされていますので、良くなってはいるようです。しかしボールが指にかかるという感触はありませんし、どれだけ投げてもマメも出来ません。これはリリースが弱くて「押してキル!」という動作が出来てないということですので、まだまだ改善の余地はたくさんあります。
身体が壊れる!?
今は腰に負担がかかっているようで左右の坐骨神経痛が出ています。さらに久し振りに右手にしびれがあります。現役の頃に痛めた腰と首(両方ヘルニアの既往歴あり)が、このとこころの負荷に耐えられずに悲鳴を上げかけているようです。
西村信紀さんは右の大胸筋を損傷しながら投げていました。それ以外にもあちこち痛めながらも投げていました。弘瀬拓生先生は右の上腕二頭筋が断裂していますし、右の胸鎖関節は脱臼したまま投げています。
胸を張らず、腕もそんなに振らずに投げていた私は、お二人のようなおおきな故障はせずにすんでいましたが、60歳を超えてこんなことをやっているといずれどこか大きな故障をすることになるのでしょうか?取り返しのつかないことになったらどうしよう?(笑)