(ソフトボール投げ方)ツーステップ投法への挑戦:2カ月後
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環太平洋大学男子ソフトボール部が春季合宿のために高知入りしていました。西村監督から高知入りの連絡をもらった私は、高知工科大学との練習試合の合間を使って、2カ月ぶりの西村さんからの指導を受けることに成功しました。
その時の様子を動画とともにお伝えしようとしたのですが、この日は3月中旬の高知としては珍しく北風の強い寒い1日になってしまい、録画をしている途中にビデオカメラが何度も倒れたり、帰って来て録画された動画を見てみると、風の音が邪魔をして音声がほとんど聞き取れないというひどい動画になっていることも判明いたしました。
まことに不手際で申し訳ないのですが、聞こえない分部については、出来るだけ文字にして説明したいと思いますので、動画と文字を合わせてご覧いただきたいと思います。
若者たちのピッチングフォーム
春野運動公園ソフトボール専用球場(昔の私達のホームグランドです。)に到着すると、まだ1試合目の際中でした。そこで終了するまで見学していようとバックネット裏に座って見ていました。
目の前には環太平洋大学と高知工科大学の若者の、元気のよい、若々しいピッチャーの姿がありました。見ていると私が出来ない軸足のインステップ(1塁側へのステップ)を、簡単にやっている姿がありました。
そして、そのステップの大きさにあらためて驚いたので、ちょっと撮影してみました。それがこちらになります。
今目指すピッチングフォームとは
1試合目が終了したところで、昼食を兼ねた休憩時間を利用して指導をしてもらうことになりました。
今回は1月初めに岡山で指導してもらってから2か月経過後の状態で、今後どうすればいいかということを確認するための指導をしてもらうつもりでした。しかし、私が気になってしまった「若者たちのピッチングフォーム」の「軸足のインスッテプ」へのこだわりが、違った方向に行ってしまうことになりました。それは順次説明して行きたいと思います。
まずは私が今目指している投げ方を説明している動画をご覧下さい。
聞き取りにくいですね。すみません。
順番に書いて行きます。
私のバッターとしての経験からもあるのですが、いくらスピードがあってもフォームのスピード感と、手の振りのスピード感、そしてボールのスピード感が同じであれば、バッターはタイミングが取りやすいと思っています。
ですからツーステップで飛んで投げるんですが、飛び上る時は極力ゆっくり、バッターからすると楽に(軽く)飛んでいるなと思うくらいに飛びたい。
そして右足が着地して左足が着地するこの時間に、腕をリリースする瞬間までを加速させて、軽く投げているようだけれど意外にボールは来ていると感じさせるようにしたい。
こうすることによってバッターは、少し差し込まれるような感じになることを狙っているわけです。
横浜ベイスターズ筒香選手と今永投手の対談より
テレビのスポーツニュースの中で、横浜ベイスターズの4番バッター筒香選手と今永投手の対談の様子が紹介されていました。ご覧になられた方もいらっしゃると思います。
その中で筒香船主が今永投手の印象(良いところ)を聞かれた時に、次のように答えていました。
「腕のスピード感とボールのスピード感が違う。」
日本ハムファイターズの大谷投手のように、スピードガン表示が160キロを超えることはない、というか130キロ代のスピードしか出ていない今永投手ですが、バッターが振り遅れたような空振りをしたり、詰まって打ち取ることが出来ているのは、この腕の振りのスピード感とボールのスピード感の違いにようものだと言うことなのです。
軽く投げているようなんですけど、ボールにしっかり力が伝わっていて、回転も良くてキレのあるボールが投げられる。良く言う「初速と終速の差がない」ボールを投げているということでもあると思います。
右足はこんなところにはこない
説明が終わって、実際にボールを投げて見てもらおうとしていました。そしてその姿を見ていた西村さんが「何キロ出ているか、計ってみましょうか?」と言ってくれたので、20年振りくらいにスピードガンで計測してもらいました。
本来であればこの場面も撮影していないといけないのですが、ちょっとウォーミングアップをしようとしていたら、そのまま指導が始まってしまって、撮影が出来ていません。
そこで今の私の投げ方については、こちらをご覧いただいて、この後の西村さんとのやり取りを見ていただきたいと思います。
https://ipansyadan-nsab.com/archives/5405
するとどうでしょう。「90キロ」「90キロ」計ったように同じ数字しか出ません(笑)たぶんですが、私の現役中の最速が108キロくらいだったように思います。今と違ってスピードガンなんてものは身近にある時代ではなかったので、ほとんど計ったことはなかったと思います。それにしても遅すぎます(笑)
何度か投げていて、縦回転のボールを投げた時に「96キロ」となりました。すると西村さんが
「どうしたいですか?」
と聞いてきました。
「球速を上げたいとは思うけれど、どうやっても昔のフォームを引きずっているので、右足はこんなところにはこない。」
というような返事をしました。
足は両脚同時に着地する
すると西村さんから出た言葉が、
「ボールを速くしたいんだったら、足は両脚ほぼ同時に着地しないとボールは速くなりませんよ。」
ちょっと最近フォームを変えたピッチャーがいるので、投げさせてみましょうかということで、投げてもらって、その後そのことについて説明してもらっているのが次の動画になります。ご覧下さい。
どうでしょうか。まったく音声が聞こえないところがありますね。まさかこんなことになっているとは思わなかったものですから、また文字で説明させていただきます。
ボールを速くしたいのであれば、私がやっているような軸足(右足)が着地してから自由足(左足)が着地する投げ方では、腕の回転が速くならないので、ボールは速くならない。
飛んだときに半身になってためた力を、着地と同時にボールに伝えるようにしないとダメで、その時に体重移動が必要になるし、右肩も前に出て来ないとボールに力は伝わらないと言うのです。
そして右肩を前に出すためには、左肩を引かないとダメとも言われました。そうなんです、肩は左右についているんですから。
この動画で投げてもらっている選手は環太平洋大学のピッチャーで、これまでは違った投げ方をしていたんだけれども、どうも上手くいかないということで今フォームを変えている最中だということでした。
私の課題と同じということで西村さんが呼んでくれて、両足をほぼ同時に着地するという動作を見せてくれようとしたんだと思います。この選手には今のところ自分で考えてやらせてみる方針のようで、特別指示はせずに自由にやらせている様子でもありました。
この動画中のやり取りを聞いて投げてみると、それまで106キロ程度しか出なかったスピードが111キロまで上がる場面もありました。クリアしなければならない課題もたくさんありそうな感じなので、それがクリアできたときにはこの若者が大きな変化をしてくれる可能性も感じたところでした。
MAXかチェンジアップしか投げられない
ただしこの投げ方には欠点があって、全力投球かチェンジアップしか投げられないというのです。
若い時には可能かもしれませんが、57歳には不可能なことです。そして100%で投げた時にはコントロールは甘くなるということもあります。ボールをコントロールするためには70~80%の力で投げる必要があると私は思っています。
50%の方がもっとコントロール良く投げられるのかもしれませんが。それではバッターは抑えられないので、やはり最低でも70%くらいでは投げないといけないのではないでしょうか。
そして試合では70球から100球くらいは投げないといけません。大会ともなれば2連戦があって、それを3日間続けないといけないとなれば、この若者が挑戦しているような投げ方に挑戦するかどうかは考えものです。
そして例えば95キロしか出なかったスピードが105キロ出たとしても、それはスピードガンの表示が上がっただけのことで、それでバッターを抑えられるということではないというところが、今後どうして行くのかを考えさせられることになります。
どうなりたいですか?
2試合目が始まりましたので、今回の指導はここまでになりました。そしてこの日の夜、西村さんとご飯を食べながら、2軒目ではお酒を飲みながら西村さんの
「どうなりたいですか?」
の答えを探していました。
「飛んでいいとなったので、飛んで投げてみようと思った。」
「投げ方変えたら、違う世界が見えるかなと思った。」
「コントロール良く投げて、バッターを打ち取るではなくて、スピードで空振りをさせられるピッチャーになってみたい。」
「70歳で西村に勝つ。そのためには私が70歳、西村が63歳、この時点で私の方が間違いなく速いボールを投げている必要がある。」(笑)
「この年齢でもこんな投げ方が出来て、こんなボールが投げられるんだというところを見せたい。」
こんな答えが出てきました。聞かれてみて初めて自分の気持ちに気がついたというところもありました。
筋力、センス、人間性、記録、実績・・・どれも西村さんに勝てるものは持ち合わせていません。ただコツコツ走って努力した私にソフトボールの神様がくれたご褒美が、日本リーグと一般男子(現全日本総合)の最少投球数の記録です。これは西村さんがどれだけ素晴らしいピッチャーであっても、抜けない記録です。と言うか、西村さんがすごいボールを投げるピッチャーであればあるほど達成できない記録だとも言えます。
けどピッチャーを志すものなら誰もが目指すもの、バッターをきりきり舞いさせられるスピードボールと変化球が投げたい。
これをやって西村さんを越えないと、勝ったということにはなりません。ただし、私の場合は今後健康体を維持して、老化して劣化した西村さんでないとその可能性はないということですけど (笑)
ゴールはどっちだ
なんとか進む道が見えてきたかと思って、その確信を得ようと思って西村さんを捕まえたはずでしたが、どうもこのままでは自分の求めていた場所にはたどり着かないような感じになってきました。
このままツーステップ投法を極めてみるのか、それとも今回指摘されたように今の投げ方ではスピードは速くならないというのを受け入れて、新たな両脚着地に挑戦してみるのか、はたまた両方を捨てて元のフォームに戻るのか。
ちょっと時間をかけて考えてみたいと思います。70歳まで12年、まだまだ時間はあります(笑)
今回の動画はあまりにも音声が聞き取れませんので、機会を作って西村さんを捕まえて再録画をお届けする予定にしています。