珍しくバッティングの話をしてみましょう(笑)
これはアッパースイングでしょうか?
男子の日本リーグの写真があります。
どこから見てもすごいアッパースイングですね。
けれどこうやって線を入れてみるとどうでしょう?体幹に対してはレベル(水平)にバットは振られています。
地面に対してはアッパースイングですが、体幹に対してはレベルスイング。
これが今の打ち方なんだと思います。
上から叩け!
昔は上のような打ち方をしていたら、間違いなく
「上から叩け!」
と怒鳴られて、打ち方を直されたものです。
「フライを打ち上げたら捕られたらおしまい。」
「ゴロを打てば、捕るとき、投げるとき、そのボールを受けるときの3回、相手がミスする可能性がある。」
「上から叩いて、ゴロを打て!」
と言われてはいませんでしたか?
ですから昔の人のバッティングフォームは、みんなこんな感じだったんです。
写真が不鮮明で申し訳ありません。けれどきれいなレベルスイングです。
道具の進化とともに技術も変化
ボールもバットもなかなか飛ばなかった時代、こつこつ単打をつなげて1点を取りに行っていた時代には、大振りでアッパースイングの選手の活躍の場所はあまりありませんでした。
ヒットの延長が長打でしたし、大きな当たりで外野手の頭を超えなくても、フェンスなんかあまりなかった時代でもありましたから、外野の間を抜けていけばホームランもありました。
「球足(たまあし)勝負。」
打球の速さで野手の間を抜いていくことを、強く要求されましたよね。
それが道具の進化でボールが飛ぶものですから、打ち方も変わってきたのではないでしょうか?
今はホームランの打ちそこないがヒットと思ってはいないだろうかと思ってしまうほど、上を向いて打つバッターが増えました。
誰でもホームランが打てる時代と言うと言いすぎかもしれませんが、ホームランが打てる確率は増えました。さらに
「え、あれが入るか?」
というような当たりがフェンスを越えることも珍しくありません。
昨年からのバットの反発規制の結果、少しホームランの数は減っているようですが、打ち方が変化したようには思えません。
ボールを点で打つか、線で打つか
ソフトボールのピッチャーのボールは、野球と違って下から出てきます。
ストレート系、ライズ系のボールに対しては、上から叩くような打ち方をしないとボールを線でとらえるという感じにはなりません。
逆にドロップ系のボールに対しては、下からバットを出すようにしないとボールを線でとらえることが出来ません。
別にボールを点(自分のバッティングポイント)でとらえて打てるのであれば、点で打とうが線で打とうが構いません。
ただ確率で言うと「線でとらえる」方が、間違いなく打てる確率が上がるということですね。言い方を変えると「点でとらえる」打ち方の方が難しいということでしょう。
レベルスイングの良さとは?
ソフトボールは野球に比べると縦の変化が大きいのが特徴になります。野球には浮き上がるボールはありません。(アンダースローのピッチャーのボールで、少しそのようなイメージのボールがないことはないですが。)
浮き上がったり、落ちたりするボールの両方に対応するためには、体は地面に垂直に立って、バットを地面に対してレベルに振れるバッターが一番対応できるはずです。
ライズ狙いなら目線を高くする、ドロップ狙いなら目線を低くしたり、顔を横向けて目を縦に並べるなどの対応だけで、バットは自然と上から出たり、下から出たりします。
あえてスイングを変えなくても、変化球への対応は可能なのです。
ただボールが目の前に来てからでは遅すぎて体が反応してくれませんから、カウントで球種を予測してみたり、握りで球種を見破ったりして打ちに行くわけでですね。
投げる前から球種が分かっていれば、それはそれなりに対応できるものです。
この人は違いました
この人とは、現男子日本代表監督でもあり、高知パシフィックウェーブ監督兼選手の岡本友章さんです。
彼が岡豊高校から闘犬センターに入部してきて、何年かたった時だったように記憶しています。
私のような凡人では球種が分かっていないと、なかなか日本リーグのピッチャーのボールを打つことが出来ませんでした。分かっていても打てないことの方が多いのですが、自分の得意であるライズ系のボールを必死で待っていたものでした。
そして必死で相手ピッチャーのクセや握りを見て、球種を見破ったときには思い切って打ちに行ったものでした。
あんまり考えないでソフトボールをしていそうな岡本さんに聞いたことがありました。
「お前、ピッチャーのどこを見て球種絞りゆう?」
「僕はボールが来たところにバットが出ます!」
規格外の回答でした(笑)
そして「こいつは我々とは違う!」と思いました。
天才かよっぽどのバカかです(笑)
岡本さんの岡豊高校の恩師、弘瀬拓生先生にも聞いたことがあります。
「岡本はあんなけどちゃんと考えちゅうで。高校に入ってきたときから高目のライズの見極めが出来ていて、「どこを見ゆう?」って聞いたら、「ライズは上に行くボールでしょう。だからここに線を引いちょって、ここから上のボールは振らんかったええがです。」って言いよった。」
打つことに関しては天才的な感覚を持っていたみたいです。
その彼が大きく成長して、全日本の監督としてチームを率いて世界選手権に挑戦します。
理論を喋らせるとどちらかと言うと長嶋さんに近いところがありますので、それを上手に選手に伝えて世界の強豪と戦ってきてもらいたいと思います。
帰国したら感想などを聞いて、またお伝えしたいと思いますのでお楽しみに。
「頑張れ!岡本JAPAN!」