私が投げていると弘瀬拓生先生が何度となく「テイクバックで投げてみて。」「テイクバックの方が合うちゅうと思うで。」と囁いてきます。そして投げてみて私自身もこの投げ方の方が合っているかもしれないと思うこともあります。
テイクバック投法は肩を中心に腕を振る(元々の投げ方に近い)ので、投げやすいというのがあります。さらに身体の移動は上ではなくて前という感じになりますから、こちらもスムーズな移動になっています。投げているボールにもそれが伝わるので、ボールにも勢いみたいなものが出てきます。
けれど未だにその有難いアドバイスと自分の感覚に逆らってまで、ジャンピング、ツーステップにこだわっている理由を説明しましょう(笑)
性格がゆがんでいる!
自分では結構まともだと思っていますが、他人から見るとそうとうな変人のようです(笑)目は外を見ていますので、実は自分のことは見えていないそうです。他人の目から見えている自分が本当の自分だ!と言う人もいます。なのでやっぱり変人ですね。
この変人が他人の言うことをそう簡単に受け入れるはずがないのが一番の理由です(笑)ジャンピング・ツーステップで速いボールを投げる!こう言って始めたチャレンジなので、途中でそう簡単にやーめたっては言いたくないんです。今の若者たちが普通にやっているジャンピング・ツーステップで投げたら違う世界が見えるんじゃないだろうかという興味もありました。しかし昔から投げてきた投げ方の亡霊から抜けられず、なかなか思うような投げ方は出来ていません。
難しいことにチャレンジしている自分が好きなのかもしれません。結局は自己満足ですから、自分が満足できる結果を目指すしかないですよね?自分自身の出来ないところにはとっくに気がついています。しかしそれを認めたくない自分がいます。チャレンジし続けていれば、負けや失敗はありません。これもまた屁理屈ですけど(笑)
身体への負担
そしてテイクバック投法をやらない理由の二つ目。膝への負担です。去年右膝を痛めました。幸い半月板損傷には至りませんでしたが、今でも右膝の外側には不安があります。この膝を痛めたのがテイクバック投法で投げた時でした。テイクバック投法で投げると重心が下がります。そして最後右足で蹴ることになるんですけど、この時の膝の捻り方が痛いんです。そして今はそれが怖くて蹴ることができません。なのでテイクバック投法で投げることは基本ありません。
左膝は高校生の時に後輩と激突してからずっと痛みと付き合ってきましたが、右膝は痛めたことがなかったんです。それがグっと力を入れて蹴った時に「あ痛!」となってからは、右膝の調子がずっと良くないです。
なのでテイクバック投法に限らず、重心を落として最後蹴って体を持ち上げるようにする投げ方は今後出来ないと思っています。とにかく怖いんです。
西村信紀の教え
57歳からのチャレンジでしたが、このチャレンジのモチベーションを上げる(維持する)ために、「70歳で西村信紀に勝つ!」と言う目標を勝手に設定しました。そしてそのために西村信紀さん自身に教えを請うことにしました(笑)
彼は実績も理論も、そして実践も日本一だと私は思っています。そんな人に教えてくれと言っておいて、出来ないから諦めたはないですよね。やってやってやりきらないと、それは失礼なことになります。そして結果を出して、あなたの言っていることは間違ってないって証明しないといけないんですが、出来の悪い弟子はそれは出来る保証はありません。これは本当に情けない限りです。
そして西村さんが、思いもよらない病気によって自分では投げられなくなってしまっていることを思うと、あれだけの時間を独占してその技術を教えてもらった者として、言われたことのここをやったらこうなった、言われたことのここが出来ない、ここは自分ではこうやるようにしたらこうなったとか、検証をする義務のようなものがあると勝手に思っています。
西村さんの指導を受けた人は大学の学生はもちろん、全国の研修会やクリニックの参加者などたくさんおられます。しかし教えてくださいとは言いながらマンツーマンで「あれはどうなっちゅう?」「これはどうしゆう?」「ちょっと投げて見せて。」と先輩風を吹かせ、分かってもいないくせに「なるほど。」「分った。」「ふんふん。」などと分かったふりまでしていた人は私しかいません(笑)
約4年やってやっと前に言っていたことが理解できるようになってきたこともあります。投げていて分かった!とさも自分で気がついたと思って、以前の動画を見ていたらその動画の中で西村さんがそのことをしっかり説明してくれていたってことはしょっちゅうです。そこで話されている言葉を理解する力が私にはその時点ではなかったということなんです。すごく遠回りしていますが、これもやり続けているからこそ気がついたことです。
たぶんこれからもそんなことの繰り返しだとは思いますが、西村さんが投げられない分、私が頑張って投げて行きたいと思います。身体の痛みも頑張っている証拠だと思わないといけないでしょう。西村さんも現役の時はあちこち痛めながら投げていました。やはり速いボール、強いボールを投げるという動作は、身体には負担なんですね。
こんなことが私がテイクバック投法で投げることを拒否して、ジャンピング・ツーステップ投法を続けている理由です。さてさて痛い、痛いって言いながら頑張ってみますか(笑)
次回は「肩甲骨」をキーワードにして、お話をしてみたいと思っています。この肩甲骨の動きによって何かが変わるかもしれません。お楽しみ!