
ソフトボールのピッチャーの投げ方にはいろいろな投げ方があります。最近はスリングショットで投げているピッチャーを見ることはなくて、ほぼ全員がウインドミルで投げていますね。しかし同じウインドミルと言っても、いろいろな投げ方が存在します。大きく分けるとまったく飛ばない、ワンモーション(ジャンピングはワンモーションかな?)、ツースッテップの3つでしょうか。この3つでも手の使い方、足の使い方でまた違った投げ方になってくるとも言えます。
小山投手の投げ方
先日小山投手(日体大)の身体の向きが、一塁側を向いているのではないかと書きました。さらに彼の画像を探してみると、彼はそんなにアウトステップもしてなくて、意外に真っすぐキャッチャーの方を向いて投げていることが分りました。その写真がこちらになります。




プレートの右端(三塁側)を踏んでいますので、この一から大きくアウトステップするのかと思って見てみましたが、実際はそんなことはなくて少しだけ一塁側に飛んではいますが、左脚のつま先の位置で言えばほぼ真っ直ぐで、左脚で壁を作っておいて腰を切って腕を振るという、方向性からするとすごくシンプルな動きになっていました。この動きを図にすると、こんな感じになると思います。

ステップする必要がありますね。
どんなピッチャーを目指すのか
ソフトボールのピッチャーの動きは、いくつかの動きの組み合わせで出来ていますね。ジャンピングでもツーステップでもまず飛ぶことから始まります。そして腕を回す、カラダを捻る(横を向く)、腰を回す(回旋)、前腕(肘から先)を回旋させながら手首を屈曲などの動きです。細かく言えばもっとたくさんの動きによって、投球動作は出来上がっています。
この複雑な動きをスムーズに連動させて、さらに上手に加速させないと思ったようなボールは投げられません。そして速いボールを投げようとすれば、この複雑な動きを短い時間でやらないといけなくなるわけです。人間の筋肉には持って生れた特性のようなものがあって、速い動きの得意な筋肉と、遅いけれど疲れにくい筋肉の割合いが人によって違って生まれて来るようです。だから瞬発系の種目の得意な人とか持久力系の種目が得意な人、また跳躍系の種目が得意な人などという特徴の違った人が存在することになるみたいです。
速い動きの得意な筋肉を多く持っている人は、やはり速いボールを投げる資質は高いと言わざるを得ません。そう生まれてこなかった選手が、いくらトレーニングを積んでも、なかなかスピードボールを投げられないのはこのせいだと思います。けれどこの選手に疲れない筋肉が多い特性があると、1球の速さはないけれども、試合の終盤になっても球威が落ちないとか、連投がきくとかという強みが出る場合があります。自分の特性を知って、自分に合った投げ方を見つけるしか試合で勝てるピッチャーになる方法はありません。どんなピッチャーを目指すかで間違うと、なかなか試合で投げさせてもらえないということになりますね。
動きはシンプルな方が・・・
この複雑な動きを短時間で行うためには、動きをシンプルにまとめた方がやりやすいと言えるかもしれません。西村さんのフォームをもう一度見てもらいましょう。
西村さんはワンモーションで投げています。彼曰く「これは見せるためのフォームです。」なので力感はありません。現役の頃はもっと力強く投げていました。ろくにトレーニングもせずに、そしてアップもせずに投げてみんなを驚かすようなボールを投げることに驚きは隠せませんが、投げる動作をシンプルにして力をリリースに集中させて投げているということでしょう。飛ぶことによって生じる体重移動と、腕の回転と回旋による遠心力とテコの原理を着地の瞬間に集中して爆発させているみたいですね。
これが一番シンプルで、余計なことは全くやっていない投げ方ではないでしょうか?しかしこれには一つ問題があります。キレイなフォームは、タイミングが取りやすいということです。言葉は悪いですが「汚いフォームは、タイミングが取りにくい!」と言えると思います。汚いフォームのピッチャーで、ボールが速く、そしてコントロールが悪いピッチャーは、恐くてバッターボックスに立ちたくないということがありました。これも考え方によっては一つの武器になりますね(笑)
ツースッテプの方が動きが複雑?
のワンモーションに比べるとツースッテプの方が動きが複雑になりますね。私がツーステップに挑戦した理由の一つに「ツースッテプの方がタイミングが取りにくい。」のではないかと考えがありました。飛んで一旦右足で着地してから、さらに左足を踏み出して投げる。この動作によってバッターのタイミングがずれるのではないかと思ったんです。自分がバッタボックスに立ってみると、やはりツースッテプの方がタイミングが取りにくいと感じます。この一連の動きがスムーズでない(どこか動きがぎこちない)ピッチャーは、さらにタイミングが微妙にずれてしまいます。まあ慣れの問題もありますけど・・・
タイミングが取りにくいという長所はあっても、動きが複雑になるので上手く連動させることが出来なければ、飛ぶことによる体重移動も利用出来なくなりますし、ボール自体の威力が無くなれば、そもそもツーステップした意味もありません。
どう飛んで(前なのか、上なのか)、どこに右足をついて(一塁側か真っすぐか)、左脚をどこに出す(真っすぐなのかインスッテプか)のか。自分の目指すボールが投げられる投げ方はどれかを、しっかり見極める必要があるようです。もう若くない身体ですが、今やれることの最善の身体の使い方があるはずです。これを見つけないと私に明日はありません(笑)