いよいよシニアに参戦する時が来ました。実際に試合で投げてみると、ただスピードだけを追い求めて単調に投げているボールでは、バッターを抑えられないことが分ります。そして私は試合前にとんでもないことをやってしまいました(笑)
試合前にフォームを変える
この日は予定では1試合目から私が投げると前週に言い渡されていました。そのつもりで会場に行ってみると「ファーストを守る予定の選手がケガをしたので、お前1試合目ファースト。」と言われてしまいました。ここで1回気が抜けたのは事実です。1試合目を終えて2試合目までに1試合空きました。そこで前週の試合形式での反省とこの1週間で気が付いたことを合わせて、ピッチングフォームをいじってみようと思ったんですね。大切な試合(全国大会の予選など)では絶対にやらない暴挙ですが、特に何もかかっていない春季大会であることもあって、ちょっといじってみたんです。
具体的にどうしたかと言うと、前のブログで意識していると言った肩を回すという動作をやりやすくするために、軸足(右足)をプレートを蹴ったあと真っすぐ出さずに、インスッテプするように意識してみました。今の若いピッチャーはほとんどこうやって投げていますね。こうすることによって「横向きになりやすい」さらに「横向きになった腰を回旋させることで下半身の力が使える」などの利点があると思ったんです。軽く投げてみるにはそんなに違和感もなく、比較的良いボールも行っていたので、そんな感じで投げてみよう試合に臨みました。
しかし世に中そんな付け焼刃の技術で上手く行くほど甘いものではなかったんです。
力めば力むほど・・・
試合開始前の投球練習5球はほぼ普段通りでした。ところがいざバッターがバッターボックスに立つと、自分でも思ってみなかった体の動きが始まりました。そうです「力む」んです(笑)当然ボールの球離れは速くなり、大暴れをしだします。自分でも何が起こっているのか制御不能(笑)そんな中でも意識して確認していたのが、「右足がインスッテプ出来ているか」と「左足のつま先が時計の2時を向いているか」でした。そうです、足ばかりに意識が行っているのもあって、手がおろそかになっていたんです。何か一つを意識すると、他のことが出来なくなるという不器用な頭と体なんです。
あまりにもボールがどこに行くか分からないのでボールが多くなります。普段あまり出さないフォアボールも結構出してしまいました。そうするうちになんとかストライクを投げようと、勝手に体が調整を始めてしまいました。つま先がどんどん開いてはぼ正面(12時)を向くようになりました。これで方向性は定まるのですが、体の左側の壁は作れませんね。手のスイングも「押して切る」ではなくて「投げたい方向に出す」ようになってしまっていました。これなんかは全く無意識でやっているので、あとで足の位置や投げ終えた体の形で分かることです。
それでも何とか右足のインステップと左足のつま先は意識し続けていたんです。そして打たれたくはないので、それなりに力を入れて投げていました。そうしたら体に痛みが走るようになりました。それは右の膝の裏でした。「あれ?なんで膝が痛い???」原因は急に始めたインステップでした。普段よりインステップした右足に、いつもと違った捻りが加わっていたんです。普通に走ることも出来なくなって、足を引きずっていました。ところがこの日土佐土建はシニアの試合と壮年の試合が重なっていて、その関係で弘瀬拓生先生が壮年の試合の方に行ってしまっていたんです。「足が痛いので変わってください。」と言っても誰もピッチャーがいなかったんですね。困りました(笑)
どうしようと考えましたが投げ続けるしかないので、右足に捻りが加わらないようにインスッテプをやめてみました。そうするとなんとか投げられそうです。しかしバッターを追い込んで力を入れて投げようとすると、どうしても強く蹴ろうとします。そうすると「あ、痛い!」になってしまいます。なので、それからは右足は蹴らない、左に壁を作らないで身体を回すようにして投げることになってしまいました。まさか試合前にフォームをいじったことが、こんな形で返ってくるとは思いもしませんでした。こんなことはやってはいけませんね(笑)
試合の反省
練習は自己満足の世界です。自分の目指す世界だけを見て、やっていればすみます。しかし試合は違います。自分の出来不出来が試合の結果を左右しますし、一緒にプレーしてくれている選手もいますので、自分だけのことを考えるわけにはいきません。
今回のピッチングは普段の練習の延長であり、ほほ同じタイミングでボールを投げているので、バッターにとってはタイミングの取りやすいボールになってしまっています。ボールが少しずつ動いている時はバットの芯を外れていますが、簡単にミートされることも少なくありませんでした。練習で目指しているのは「ボールを速くする」ですが、これが試合となると「打たれないボール」を目指さないと負けてしまいます。フルスイングされるといくらシニアとは言え、ボールは飛んで行きます。なんとかフルスイングされない、ミートされないボールを投げることを意識しないと、敗戦投手になってしまいます。
こんなことを考えていたら弘瀬拓生先生から電話がかかってきました。「同じ球筋のボールばっかり投げていたら、シニアでもバットに当てるで。」「ライズとドロップで上げ下げしながらバットに当てさせない。」「ゴロが転がるとエラーも出る(笑)」「ライズの方がゴロにならない。」などのアドバイスでした。次の練習からは球速を求める練習に加えて、試合を想定した投げ分けもやっていこうと思いました。変に自分の世界にだけ生きて行くと、仲間に迷惑をかけてしまいそうです(笑)
翌日の悲劇
結局1試合と3イニング投げた翌日の私の身体は、これまでにはなかった痛みに苦しめられることになりました。まず左肩が痛くて上がりません。これはこれまでの人生で全く感じたことのない部位の痛みでした。前日の試合で左肩(左手)が動いていたことを証明するものですから、これはあまり悲観的になる痛みではありませんでした。いかにこれまで右手しか使って投げていなかったかを証明するものでもありますけど(笑)
次は右手首の痛みです。試合開始直後はただただ腕の力に頼って、腕を振り回して投げていたので、こんなところにも負担が来たんだと思います。そして右膝には鈍い痛み違和感がありました。
こんな感じでは、例えば全国大会の2日目、3日目には全く思うようなボールが投げられないように思います。投げ込み不足、投げ方(力に頼った投げ方)の問題、今回負担を感じた部分の強化など課題は山積です。やりたくないけど、やらないと打たれるし、やるしかないですね(笑)
練習で10イニング投げました。
この映像は3月24日の練習の様子です。試合形式の練習で10イニング投げました。今年初めてバッターに対して投げたのですが、バッターが立って、キャッチャーがサインを出したりコースを要求して来ます。そうするとただの投球練習と違った体の動きが出て来ます。この日特徴的だったのは左足のつま先が自然と正面を向いてしまうことでした。キャッチャーのミットを狙って投げようとすると、左脚を閉める(2時方向)より、真っ直ぐ出した方が狙いすいし楽なんです。これは意識してやっていることではなくて、勝手に身体がやってしまうことなんです。これまで長くそうやってコントロール良く投げてきた、私の身体が覚えていることです。と言うことはまだまだ新しい体の動きは身に付いていないということになりますね。
弘瀬拓生先生も3イニングくらい投げましたが、やはり腕のスイングスピードがリリースの瞬間速くなって(ブラッシングの効果)加速していますね。それに比べると私の腕はずっと同じスピード感で回っています。西村信紀さんが言う「力入れる」ところに力が入っていない=加速していないので、ボールが回転しない、スピードが上がらないという結果になっているのが一目瞭然です。ここをなんとかしないといけないし、ここが変わるとボールが変わるはずなんです。ただ「力を入れる」は「力む」ではないですし、日曜日の試合のように腕の力だけに頼った投げ方では、1試合も持ちません。大きな力を持つ下半身の力をどう使うのか、「体重移動」と「遠心力」と「てこの原理」をどう連動させるのか。これらか効率的に、かつタイミング良く使うことが出来ないと、求めるものは手に入れられないということのようです。また頑張ります。