お待たせしました。1月12日(土)岡山県で行った、西村信紀さんのマンツーマン指導の様子をお届します。高知はしっかり雨が降っていましたし、途中の高速道路も倉敷ジャンクションを過ぎるくらいまでは雨模様でした。グランドで練習してますという連絡が入っていましたが、「おいおい、雨降ってますけど?」と思いながら走っていました。するとグランドに一番近い山陽インタチェンジが近づいてくると路面も乾いていて、雨が降っている様子もありませんでした。何という幸運でしょうか。これでグランドでしっかり指導してもらえることになりました。
西村信紀さんの考える「速いボールの投げ方」
グランドでの指導の前に監督室でコーヒーを飲みながら、ビデオで世界の代表的なピッチャーなどのピッチングフォームを見ることにしました。世界各国にはそれぞれ特徴的な投げ方をしているピッチャーがいます。どこがどう違うのか、どこが共通しているのかなどを映像を見ながら話してしましたが、最後は闘犬センター時代の懐かしい映像に見入ってしまって、昔話に花が咲いてしまいました。ただそこには若くて元気のある西村信紀投手の姿があったことは間違いありません。今の時代のピッチャーのボール(結構速いですよね)に目が慣れていても、西村信紀さんのボールは速いしキレがあるし、やっぱりピッチャーとしては別格の存在であると再認識しました。
さてグランドに入ると私はランニングと体操してちゃんとウォーミングアップを始めましたが、西村さんはいきなりキャッチボールを始めます。闘犬センターの連中は自分が動けるように準備が出来れば、やり方は自由というやり方でしたので、こんな風景は見慣れたものなんですけど、気温は低いしそこそこ頑張って投げるのだからもう少しちゃんとアップした方がいいとは思いますけどね(笑)
速いボールを投げるには?
指導が始まりました。まず「西村信紀さんが考える、速いボールの投げ方」について話してもらいました。
西村信紀さんは、ボールの速さよりもボールのキレを追及してきたといつも言います。あまりボールが速くなかった私からすると、普通に投げて普通よりずっと早いからこそ言える言葉だとは思いますが、その追及がこの年齢になっても現役に勝るとも劣らないボールのスピンを掛けられる要因なのかもと思ってしまいます。やはり見とれてしまうほどボールの回転数が違いますね。
移動した体を止める
1回撮影を止めて話していると西村さんから「僕は腕を回すと思ったことはないです。肩を回すという感じはあります。」という言葉が出てきました。「腕を大きく回して遠心力を利用してボールを投げる。」と考えていた私には???でしたので、そのことについて詳しく説明してもらいました。
最初は腕の回し方からは始まったんですが、途中から「移動している体をしっかり止めて、体の回転で腕を引き出してきて、強い接触動作(ブラッシング)でリリースまで持って来る。」という話しが出てきました。そしてこれが出来るとフォロースルーは出て来ないはずという、初めて聞く理論も聞くことが出来ました。これ西村流ピッチングの結構肝かもしれませんよ。自分のフォームはどうなっているか見直してみて下さい。
自分のリズムを探す
ルール改正でプレート上を足をずらすことが可能になりました。上手くやれば一歩踏み出しながら投げられることになりますので、これもスピードアップの一つの方法かなと思ってそれを喋ってもらっています。しかし途中からは結局は自分が一番投げやすいリズムを探すことが最初で、それから体重移動、腕の回し方、ブラッシング、リリースのタイミングをどう取るかで、強いボール、速いボールが投げられるかが決まるというようなことの話しになっています。
左脚の着地に合わせて下半身を捻ってきて、その体の捻りに腕を巻き付けてくるように強い接触動作を行うことで、体の力がボールに伝えられるということでしょうか。なので着地が速くなるような歩き投げ、振り上げ動作が早い、前に飛んでしまうなどはやらない方がいいようです。日本人の男子ソフトボーラーとしては、飛び抜けた筋力(背筋力・握力など)を持った西村さんですが、その身体的ポテンシャルを持ちながら非常に効率の良い投げ方を追及した結果、速くてキレのあるボールが投げられていると言っても過言ではないでしょう。なかなか早くて動画を見ても良く分からないですが、西村さんの投球フォームも撮影してみましたので、ご覧ください。
バッターもいませんし非情にリラックスして投げていますが、とても素晴らしい回転のボールが行っていました。若い頃はもっとずっとダイナミックなフォームの時もありましたが、今は非情に洗練された素晴らしいフォームですね。これを真似てみるのも良いピッチャーになる一つの方法かもしれません。ただこのフォームと全く同じ投げ方をしても、残念ながら全く同じボールは投げることは出来ません。どこを自分流(手の長さ、足の長さ、筋力、柔軟性など)にすれば、自分にピッタリ合ったフォームになるかを探すしかありません。けれど「学ぶ」は「真似ぶ」から来た言葉だそうです。このフォームを真似することは決して無駄なことではないと思います。
次回は「山崎浩誌のボールを速くする」です。
今日はここまでになります。次回はこの内容を受けて、西村さんが山崎浩誌がどうやればボールが速くなるかをアドバイスしてくれている様子をご紹介します。ここでは「締める、開く、締める」とか「グー、パー、グー」などのようなキーワードが出てきます。そして重要な要素として「左の使い方」というものも出てきます。これが出来るとボールは速くなるのでしょうか?どうぞお楽しみに!