今回はソフトボールのピッチャーの腕の使い方についての考え方が、現在と昔ではこれだけ違っていたというお話しをしてみたいと思います。
私のウインドミルはこうして生まれた
私がソフトボールのピッチャーを始めた頃、高校1年生の秋(先輩のピッチャーが故障して、新人戦の前2週間くらいから急きょウインドミルで投げ始めました。)15歳の頃に教えられたのは、
「腕を大きく回して、その遠心力を利用して投げろ。」
「前腕(肘から先)の一番広いところを腰に当てて、手首を早く返せ。」
の二つでした。
小学生の頃にソフトボールのピッチャーをやったことはありましたが、その頃にはウインドミルという投げ方はなくて、普通のスリングショットで投げていました。
中学生は野球のピッチャーをやっていましたので、この小学生の頃のスリングショットと中学生の頃の野球の投げ方と、この高校生になってやれと言われた二つのことをミックスして投げていたことになります。まあ良く言う「自己流」ってやつですね。
私の高校のソフトボール部の顧問は剣道が専門で、ソフトボールのピッチャーの指導は出来ませんでした。私にウインドミルを教えてくれたのは1年先輩のピッチャーと、日本体育大学のハンドボール部出身の先生でした。
この先生は日本体育大学の授業で下奥先生から、ウインドミル投法を習ったことをそのまま私に教えてくれました。
(これ下奥先生です。)
たった2週間の練習でしたし、投げられるのはストレートだけ。ストライクは入りましたし、そこそこスピードもあったので新人戦ではなんと高知県で3位になってしまい、そこから私の本格的なソフトボールのピッチャー人生が始まりました。先輩がケガさえしなければ、私がピッチャーすることもなかったわけですから分からないものです。
昔は肘も手首も屈曲させて投げていた
こう書くと意味が分かりませんよね。高校時代は先輩と先生の言った通りに投げていました。卒業後闘犬センターに入った私の指導者は、当時のエースであった田中睦三さんでした。
「大きく腕を回して、腕を前に振り抜け。」
日本リーグ富山大会の時の写真ですが、ちゃんとやっているでしょう(笑)この頃は素直に言われたことをやっていたんです。
群馬教員の監督をされていた岡先生からいただいた資料にあった、ニュージーランドのエースのウエイトトレーニングのメニューにも、上腕二頭筋(力こぶの出来る筋肉)と前腕の屈筋群を鍛えるリストカール(手首を屈曲させる)しかありませんでした。
ということは当時ソフトボールのピッチャーがボールを投げる時には、肘を曲げる筋肉と手首を曲げる筋肉を速く強く使って投げるとされていたんだと理解していました。当然私もそうやっていました。
世界の三宅は違っていた
縁があってその頃群馬教員が高知に合宿にやってきました。エースは日本を代表する大エースの三宅さん(現日本ソフトボール協会副会長)でした。
せっかくの機会なので指導してもらえと社長が言うので、というか三宅さんはどこの誰だか知らない若造に教えたくはなかったんでしょうけど、社長(はっきりとは覚えてないんですが、社長が日本ソフトボール協会でどんどんその存在と立場を確立し始めた時期だったと思います。)に言われて仕方なく教えてくれたんだと思います。
マンツーマンの指導でしたから、今考えたらありがたい時間だったんですけど、田舎者特有の気後れもありますし、本当の意味で三宅さんのすごさも理解していない中での指導だったので、もったいないことをしたなと今になって思います。
あの時三宅さんが言っていたことをしっかり理解して、そして実践できていたら違ったピッチャーになっていたかもしれないと思います。
三宅さんは
「手首を普通に曲げる(屈曲させる)よりも、野球のピッチャーのように横に振る方が速くて鋭く使える。」
と言って、その手首の使い方と腰の切り方、そのための練習方法を教えてくれました。この野球のピッチャーのように手首を使うということは、手首は屈曲させるんですが、肘から上がこれまでのように屈曲するのではなくて、伸展(肘を伸ばしながら)させながら投げることになるという理屈になります。
素直な私は言われたことをやってはみましたが、この肘から上の動きを変えることに気がついていないので、上手くいくわけがありません。特にボールが速くなるわけでもないし、コントロールも付きにくいということもあって、早々に元の投げ方に戻してしまったということになりました。
今考えたらもったいないことをしてしまっています。今やろうとしていることとほぼ同じような動きを、40年近く前に手に入れるチャンスを逃しているんですからね。
それだけ三宅さんは時代の先取りというか、普通の人とは違うことをやって日本のエースとして輝いていたということになります。
西村信紀さんに同じことを言われる
それから30何年もたって、西村信紀さんに同じことを言われることになるんですが、私の耳に残った言葉は
「力入ります?」
という言葉であり、その腕の使い方によって「力が入る」ようになるということに気がつくのは、ずっとあとになってのことになります。
この動画の最初のところに、一番大切なことがちゃんと分かりやすく説明されています。ビデオ回しながら「うん、うん」と分かったように返事している私ですが、一番大切な、そしてここが出来ればというポイントを聞き逃していることに、今更ですが気がつきます。
西村信紀さんはツーステップ投法ではない。私はツーステップ投法をやろうとしている。その違いの中で、西村信紀さんの理論をどう取り入れて、自分の中でどう処理するかです。
私自身もこのスタート時点に立ち戻って、もう一度頭の中を整理してみる必要があるなと思っています。
この3つの動画に、結構重要な要素が含まれている気がしますよ。見直してみてはいかがでしょうか。