天才ライズピッチャー登場
いよいよ宮平投手がいかに天才なのかをお見せする時がきました。宮平投手は「ライズピッチャー」です。それは周りもご自身も認めているところですね。
そのあたりからお話を聞きながら、握り方、捻り方、投げ方、身体の使い方、考え方について詳しく解明していこうとしました。
宮平先生も実に協力的に実際に投げてくれて、見せてもらいました。実は当初の構想では、座ってお話を聞きながら、必要なところは実際にボールを握ってもらったり、投げる恰好をしてもらったりしようと考えていました。
最初は二人で会話するところから始めたんです。けれどソフトボールってスポーツですし、その技術を伝えるのにはやっぱり実際にやってもらうのが一番分かりやすいと思うんですね。
それはしゃべっていて宮平先生も感じたようで、やってみますかと言って帰りそうになっていた選手を呼びとめて、投げる準備をしてくれました。
それを撮影させてもらいながら、「やっぱり、これだ!」って思ってしまいました。ただ一点問題なのは、この天才たちが投げると動きが速くてよく見えないということです。
握りを見せてくれて、ひねり方を見せてくれて、動きをゆっくりやってくれて、実際に投げてもらえます。しかし、ここが速くてよく見えない、分らない(笑)
これをスローモーションで撮影することは考えないといけないなとも思いました。
やっぱりやってみないと分からないんです。今回とても良い勉強になりました。
やっぱりストレートはなかった
撮影はまず基本の「まっすぐ」からとお願いすると、返ってきた答えが「まっすぐはありません。」でした。
ここにもいたか!でした。闘犬センターのピッチャーの考え方をご紹介した時に、西村、大木、植村の時代には、彼らの球種にまっすぐという球種はなかったということをご紹介しました。
動かない(変化しない)ボールは、バットに当たるということでしょうか。全てのボールがなんらかの変化をしている、まあ力み等もあるのでまっすぐ来ることはあるんですが、何かの意思を持ってボールに回転を与えているということでしょうね。
野球で野村監督なんかが言っている、「ピッチングの基本は外角低めのまっすぐ」という考え方は、この沖縄の天才ピッチャーも持っていませんでした。
ライズボールはこやって投げる
ではライズボールをとお願いしたら、これもまた予想を大きく裏切る答えが返ってきました。二種類の投げ方をしていること。いわゆるひねり上げる投げかたと、上からはじくようににしてボールにバックスピンをかける投げ方を使いわけているそうです。
ひねり上げる方も、立てている人差指ではなくて、どっちかというと薬指でひねっている感じだというんです。薬指?ならなんで人差指を立てているの??けれどこれで投げてもらうと、まあ素晴らしいライズボールになるんです(笑)
上からはじくようにバックスピンをかけるライズボールは、ローライズを投げるときに使う投げ方だそうです。この投げ方のライズボールは元デンソーの村里投手の投げ方と同じになります。
けれどこれは村里投手を意識したものではなくて、もともとこの投げ方が宮平投手のまっすぐの投げ方だったそうです。
ライズピッチャーである宮平投手は普通に投げて、もボールの回転がバックスピンのライズ回転をしていたことになりますね。
今良く言われる「ブラッシング」「たて回転」とは違う体の使い方ですが、これはこれで究めると「天才」になれるという見本ではないでしょうか。
そして、「おへそは時計の2時の方向に向ける」でした。私がどこかで宮平投手のライズボールの投げ方を語っているのを見た記憶では、「おへそを空に向ける。」というよいうなことを言っていたような感じでしたので、お聞きしたら「おへそは2時です。」
「ここでためているっていう感じでしょうかね。」これが宮平投手のライズボールが、きちんとライズする肝かもしれませんよ。おへそが2時を指した状態で身体が止まって、腕が前に出て行く。この時の握りと捻りで強いバックスピンがかかる。どうでしょうか?
自信があるボールを持っているっていいですよね。困ったら思い切ってライズボールを投げるって腹が決まりますから。ピッチャーがマウンドで迷った時って、良い結果が出ることは少ないと思います。
コントロールミスも起こりやすいですし、ちびって置きに行ったボールより、「打てるもんなら打ってみろ!」って思いっ切り投げたド真ん中のボール方がバッターを打ち取れる確率は高いと思います。非常に非科学的な経験談にはなりますが(笑)
痛恨のミス
そしてドロップ、スライダーを見せていただいている時に事件が起こります。撮影していたビデオカメラの電源が落ちてしまったのです。頭の中が真っ白になりました。
「え、どうして?」「来る前にしっかり充電してきたので、バッテリー切れはないよね?」
考えている暇もないですし、予想外の展開で慌ててしまっているので、このビデオカメラを確認しようなんて余裕はまったくありませんでした。
そこでポケットに入っていた「iPhone」で撮影したのが、次の動画になります。本当はこれまで文字にしていたことなんかが動画でご紹介できるはずだったんですが、私の単純なミスのせいでご紹介できなくなってしまいました。
原因は撮影していたつもりだったのが「スタンバイ」状態になっていて、長時間スタンバイのままになっていたのでカメラが勝手にエコモードになって電源を落とした。つまり撮影モードになっていなかったということでした。これは撮影した動画を確認しようとして、昨日の動画ないことに気がついて、やっとこのことに気がつきました。
ここでは本当に冷や汗が出ました。「宮平さんにどうやって謝ろう?」ってことしか思い浮かばない呆然とした私の姿がありました(笑)
協力していただいた宮平先生にも申し訳ないですし、期待させてしまったみなさんにもお詫びしなくてはいけません。誠に申し訳ありません。
チェンジアップの投げ方
動画は「チェンジアップ」だけになってしまっています。壮年と一般の違いとか、理想とするピッチャーは?とか、高校生のピッチャーを指導する時はどうやっているのかとかを聞いてはいますけど、ビデオカメラが止まってしまったことで、相当心が動揺していますので何を聞くんだったかすら、なかなかきちんと口に出来ない状態になっていました。
次回はバッテリーおそろいで
こんな感じでしたので、宮平先生には大変申し訳ないですけどもう一回お話を聞かせていただくことになります。ただキャッチャーの存在、それも宮城捕手という存在があって最高の力が発揮されたということも分かりましたので、次回はこの宮平・宮城バッテリーを揃えてお話を聞かないといけないと確信しました。
場面を設定して、お互いどう考えるかなんて質問は面白いですね。全部一致するのか、一部違っているのか、それとも全く違うこともあるのか。それでサインを出す時に、どのように相手の心を思い描いているのか。
聞きたいことはたくさんあります。このレベルの高いバッテリーの頭の中を割って、全部見てみたい気分です(笑)