ピッチャーがウォーミングアップをするときなど、まずは歩きながら腕を回して投げることから始めますよね。
身体や肩が暖まったたら普段試合で投げるように、プレートに足を置いて投げることになります。でもウォーミングアップの時のように軸足を1歩踏み出して投げる方が、勢いがついて投げやすいと思っているピッチャーは多いのではないでしょうか?
イリガリーにならなくて踏み出したときと同じような感覚で投げているピッチャーを見つけましたので、今回はそれを参考に軸足の使い方を考えてみました。
ルールブックにはこう書いてあります。
こちらは私のブログで以前ご紹介したものいです。
https://ipansyadan-nsab.com/archives/4201
その中に、こう書かれています。
7.投手の軸足は、前方に引きずったり、跳んだりする前は、投手板に触れていなければならない。
(注1)軸足は、投手板に触れたままであれば、投手板の上でスライドさせてもよい。
軸足を投手板から持ち上げて、再び置き直すと不正投球となる。
(注2)投手板から蹴り出していれば、軸足を引きずったり、跳んだりして着地し、投球することは合法的である。
軸足を投手板から離し、前方に移動させ、投手板に触れていない地点から投球すると不正投球となる。
8.投手板から軸足をずらして(投手板から離れた地点から)投球を開始し、投手板以外の地点を蹴りだして投球すれば、これは不正投球となる。(クローホップ)
(注)投手は、投手板から蹴りだしていれば、跳んで(リーピング)、着地し、一連の動作の中で投球してもよい。軸足が投手板から蹴り出され、その後に軸足が一連の動作として動き続けている場合は、フォロースルーとみなし、クローホップとはみなさない。
豊田自動織機のリケッツ投手の投げ方をご覧ください。
先日倉敷に日本女子ソフトボールリーグ1部岡山大会を見に行っていて、試合前のピッチングを見ていて、
「あれはイリガリーじゃない?」
と思って見ていました。
「練習だけあの足の使い方で、試合になったらイリガリーじゃない投げ方になるのかな?」
とも思っていました。実際そんなピッチャーたくさんいますからね。私個人的には、練習から試合と同じ形で投げていないと意味がないと思っている人間ですから、そんなピッチャーを見るとなぜ練習と試合と投げ方(足の踏み出し方)が違うの?と思う反面、そんな練習していて、よく試合で普通に投げられるよなと感心してしまいます。不器用な私には真似のできないことです。
リケッツ投手も練習ではプレートを無視したような踏み出し方をしていましたが、試合ではちゃんとプレートを意識した投げ方になっていました。基本的な足の使い方は同じで、練習ではプレートを無視しているかのような自由な足の使い方をされていました。
このリケッツ投手の足の使い方の肝は、
軸足は、投手板に触れたままであれば、投手板の上でスライドさせてもよい。
これじゃないでしょうか。
トヨタ自動車のアボット投手は軸足を横にスライドさせて、踏み出しのような動作をしていますね。
スライド=横
と勝手に解釈してしまっていましたが、
スライド=前
もプレートの上であればOKなんだと気が付きました。
歩き投げの方が投げやすくて、ボールにスピードやキレが出るようであれば、この足の使い方検討してみる価値があるのではないかなと思います。
歩き投げの弊害もある
歩く(1歩踏み出す)ことによって球威やスピードが上る可能性もありますが、一方で弊害?となることもあります。
以前西村信紀さんからも解説してもらったように、歩き投げをするとどうしても手が先に回ってしまう(動いてしまう。)という形で投げることになってしまいます。
バッティングもそうですが、大きな力を効率的に使おうとすると体幹、特に下半身の大きな筋肉を捻ったたり、先に動かしたりしてその力を利用して上半身や腕を使う必要があります。
下半身のリードとか、上半身と下半身の割れとか、言葉の表現は人それぞれですが、言っていることはこんなことだろうと思います。
特に体格や筋力(筋肉量)で劣る日本人が、世界に対抗するピッチャーとなるためにはこの効率的な体の使い方を身に付ける必要があると思いますし、それが出来る器用さを日本人は持っていると思います。
外国人ピッチャーのようにめちゃくちゃなフォームでも、上半身や腕の力だけですごいボールを投げることは日本人には無理です。
私を含めて多くのピッチャーは世界を目指しているわけではないので、まずは自分の投げ方で最もコントロール良く、最もスピードとキレがあって、バッターに打たれないボールが投げられる投げ方を見つけることが重要ですね。
速いボールが投げたい。
三振が取りたい。
鋭い変化球が投げたい・・・etc
こんな欲にまみれています(笑)しかしこんな欲がなくなったら、しんどい練習なんかしたくないし、こつこつ走ったりして努力することもなくなります。
なんとなくやるのではなくて、これは何のためにやっているのか?、自分の投げ方に合っているのか?そして試合で使えて、バッターに通用するのかまで考えて練習することをおススメします。
どれが正解ということもありません。立派な指導者が言われていることはどれも経験に裏打ちされた素晴らしいやり方だと思います。しかし合う合わないがありますし、最後は自分が納得する投げ方をやってみて、結果で判断するしかありません。
みんなで頑張りましょう!