元々スポーツ界ってパワハラ体質で成り立っていた世界だと私は思います。
師匠→弟子
先生→生徒
監督→選手
先輩→後輩
どれをとっても上意下達の関係の世界です。
上の者が言ったことを、言われた側は当たり前と受け入れていた日本のスポーツ界に、
「パワハラ」
という概念が持ち込まれた時に、古い体質や考え方、人間関係を変えなければいけなかったんじゃないでしょうか?
上の者は上の者で、「そんなつもりで言ったのではない。」「これまでは何も問題にはならなかった。」と思っていると同時に、敬語で話され、言ったことに対して「はい」と受け入れてくれる関係を、自ら手離すようなことはあまり考えないでしょう(笑)
この古い体質が心地よいと感じる世代がいなくなるまで、この問題はなくならないのかもしてませんね。
日本人に「PLAY=楽しむ」と言った感覚はなかった
英語はスポーツをする時に「PLAY」という単語を使います。
I PLAY SOFTBALL
みたいにです。
ところが日本人は元々修行するみたいなものを、そこに求めてきたような気がします。
「柔道」「剣道」はもとより、今話題になっている人が良く言っていた「相撲道」もそうですし、「野球道」という言葉を使って、高校野球の指導法を説いていた先生もおられました。
「○○を通して人としての生き方、考え方、さらには人間形成を考える」
みたいなことが求められてきたのが日本なのかもしれません。
人間として成長するための一つの修行の形が、「柔道」「剣道」「野球」「バレーボール」「バスケットボール」「ラグビー」「ソフトボール」だったりしていた。
そこには絶対的な存在の師匠や監督がいて、その方に指導していただくことで技術はもちろん心も鍛えていただける。
これが古い日本のスポーツ界を支えてきたのも事実だと思います。このことが日本人の美徳にも合っていたんだとも思います。この考え方は間違っていないと思います。ただ使い方を間違っていたり、それを利用して自分の立場をよくしようとする人がいると、おかしなことが起こってくることになるということではないでしょうか。
しかし、もう時代が違います。そのことを上の立場にある人間が、十分に理解しておかないといつまでたっても日本のスポーツ界から「パワハラ」はなくならないと思います。
指導って?
世の中で問題(時は犯罪として処罰されるような)が起こった時に、その場所によって都合の良い言い換えが行われることがありますよね。
家庭内だと、暴行が「しつけ」
学校内だと、同じく暴行が「いじめ」
スポーツ界だと、暴行が「指導」になって、なんとなく許されるみたいなものです。
どれも「暴行」という立派な犯罪なんですけど、何かいじめ以外は教育するために仕方なく行った行為みたいな感じで許される、言い訳になってはいないでしょうか?
家庭内のことはおいておくとして、スポーツの指導者が殴らないと指導できないというのであれば、その指導者には指導力がないということだと思います。殴らなくても人は指導出来ます。
「叱る」は指導だと思います。やってはいけないことは言わないといけないと思いますし、そのためには語気を強くして「叱る」ことが必要な時もあるでしょう。
ただ自分の感情を抑えられずに「怒っているだけ」は指導じゃないと思います。そんな指導者をいっぱい見てきました。自分の腹立たしさを吐き出しているだけの人です。
今の時代パソコンやスマホで調べると、誰でも世界一、日本一の指導者の理論や指導方法が手に入れられます。それを見て上手になろうと頑張っている選手に
「黙って言う通りにやればいい。」
なんていう指導はもう通用しないんです。
その選手が分るようにかみ砕いて伝え、やらせてみて出来ないようならまた違った言い方、やり方が説明出来ないと、今の子供たちはついて来ません。
「だって全日本の○○選手が、こうやるって言っていたんです。」
「先生のやり方は古い!」
って腹の中で思いながらやっていたとしたら、上手くいきませんよね。
今の指導者はそういう意味では、とっても大変な時代になったと言えますね。指導者のみなさん、どうか頑張ってください。
今世の中で起こっていること
レスリング協会のパワハラ、アメリカンフットボールの問題、ボクシング協会のパワハラなどが続いていますが、特にボクシング協会の会長の問題が出た時に、いまだにこんな体制の日本協会があるんだと驚きました。
というのも古い時代の日本ソフトボール協会を思い出したからです。今だったらソフトボール協会もボクシング協会と同様、大騒ぎになっていたかもしれないと思ったからです。
もうその当時を知っている事務局の人間も少なくなりました。声の大きい権力を持った人間が会長になってしまうと、強烈なワンマン体制になってしまうようです。今じゃなくて本当に良かったですね(笑)
ただ本当にまだこんなやり方をしている人がいるんだ、こんな人が会長をしていて大丈夫?それもオリンピック種目で、と驚いてしまいました。でやっぱり失脚しました。当然のことです。
また今一番新しい話題がソフトボール界に起こっています。今度は「セクハラ」問題です。事実かどうかは分かりません。ただ火のない所に煙は立たぬと言いますし、誰もが気をつけないといけない問題ですね。
男性の指導者が女性を指導する。これまでのソフトボールの指導現場では、当たり前の光景でした。このような問題が起こってくると、男性が女性を指導することが難しくなってくる可能性もあります。
男性の方が女性より指導力があるなんてことはないですし、これまでは男性の指導者の数が多かっただけのことじゃないんでしょうか?
問題を起こす可能性のある男性指導者より、同じ指導力なら女性の指導者をって考えるようになっても仕方ないですよね。
そのせいかどうかは分かりませんが、日本リーグ女子1部のチームの監督に女性が多くなってきましたね。女性監督は女性だからこそ女性の気持が分りますし、どこをどう頑張って、どう手を抜くかも分っているので、追い込むことができます。
男性から見ると意味がないと思える宇津木さんの速射砲ノックも、女性である宇津木さんには何か確信があるんでしょう。男だとあの練習をやろうとすると、選手もノッカーも途中でぶっ倒れてしまいますから(笑)
男性指導者には男性指導者の、女性指導者には女性指導者の良さがあると思います。性別ではなくて、あくまでも「指導力」なんでしょうね。