ピッチャーがピッチングフォームを変える目的は何でしょうか?
・ボールの球速を上げたい
・鋭い変化球を投げたい
・バッターのタイミングをずらしたい
・短所を矯正したい
などなどが考えられるでしょうか。
どもこれらは「目的」ではなくて「目標」なのではないでしょうか。
目的は
「バッターをおさえる」
ピッチャーをやる以上、最終的な目的はこれしかないような気がします。
57歳の挑戦
バッターに打たれなければ試合に勝てます。何歳になってもやっぱり試合には負けたくないもので、そのために走りますし、練習もします。
そしてどうにかしてバッターに打たれないボールを投げる方法はないのかと、弘瀬拓生先生や西村信紀さんに教えを請います。
若い頃には、すぐ傍にこのスーパーエースが居ても聞くことはありませんでした。また教えてくれることもありませんでした(笑)それは同じチームにいても、やっぱり戦っていたからだと思います。
しかし、もう若くはないのです。残されたソフトボール人生も何年あるか分かりません。今聞いておかなければ、今教えてもらわなければという気持ちの方が強くなりました。
問題は57歳になった自分のからだです。
今20歳のからだがここにあれば、また違ったチャレンジができるのでしょうし、20歳のからだがあって120キロのボールと鋭い変化球があれば、壮年、実年のクラスでは打たれることはないのかもしれません。
しかしもう20歳の筋肉も関節もありません。あるのは57歳のからだなんです。
からだは自然に楽をしようとします。ちょっと無理をすると痛みが出たり、切れたりして、すぐに拒否をし始めます。
それでもどこまでやれるのか、どう変われるのかはやってみないと分からないのでやってみようと思いました。
基本は同じ
20歳と同じことは出来ないとしても、ピッチングの基本は同じです。それを日本一を経験した二人に聞いてみようと思いました。
手の使い方、足の出し方、ブラッシングのやり方、この二人でも表現の仕方が違います。それは二人の言葉が違っているからであって、基本は同じことを言っていると思います。
表現する言葉が違って、それを体現するからだも違うので、投げてみると違ったフォームになるということでしょう。
どうしても外してはいけない原則みたいなものがあって、それが出来ていないと良いピッチャーにはなれないと思いますが、それ以外はみんな違っていていいと思いますし、自然と違ってくるものだと思います。
だって身長も体重も、手の長さ、足の長さ、関節の柔軟性、筋肉の質、さらには頭の中がそれぞれ違うわけですから、同じになるはずがありません。
正しい基本を身に付けたら、あとは数あるやり方の中からどれが一番自分に合うのかを探すだけです。
大きく、速く、力強く
西村信紀さんの指導動画の中で、西村さんが私に
「力入ります?」
と何度も聞いています。言われているようにやっても、それだけではボールが速くなったりするわけではないんですね。
確かにここを改善すると良くなる可能性はあるのだけれど、逆にタイミングがずれてかえってフォームの大きさや速さ、力強さを失うこともあります。
まして修正点が複数あると、もう頭もからだも大混乱になります(笑)
それが今回公開したフォーム(スローモーション)に出ています。やっているつもりでも出来ていないとか、何か一つやろうとしたら、もう一つのことを忘れているなどです。
You Tubeに(1)~(18)までをアップしています。
大混乱していますね。見ているとイライラしてきます(笑)
なかなか簡単に変われるものではないですが、アドバイスの中から自分に合うものを見つけて、それを取り入れることによって大きくて、速くて、力強いフォームで投げられるフォームを見つけるしかないですね。
シャドーピッチングならできる
この動画を見て下さい。
この動画の8分くらいからのやりとりの中で、西村さんも言っていますが、
「シャドーピッチングやったら出来るけど、ボール投げると出来るかな?」
そうなんですね、ボールを持って投げようとするとどうしても「投げる」ということが優先されてしまって、他のことがそれに合わせてしまうんです。
人間の脳は変わることを嫌うようになっているそうです。でも可塑性と言って少しずつなら変わることを受け入れてくれるようになっていて、変わることができるようになっているみたいです。
ですからピッチングフォームを変えようとすれば、少しずつ毎日続けていけば、どんなに不器用でも、覚えが悪くても変われる可能性があるということを信じて、57歳の私はチャレンジしています。
残念ながらシーズンオフでピッチング練習も出来ませんし、シーズン中であっても投げられて週1回ですから投げてフォームを固めるという作業が出来ません。その分を若い頃はやらなかったシャドーピッチングで補おうとします。
ところがシャドーピッチングでは出来るからだの動きや腕の使い方が、ボールを持って投げようとすると出来なくなるんです。ここに昔の投げ方の亡霊が出てきて、キャッチャーのミットに投げることを優先させてしまいます。
シャドーピッチングでは獲得出来ないものがあるような気がします。
次回は試合で投げるということについて、考えてみたいと思います。