【ソフトボール観戦記】第72回 愛顔(えがお)つなぐえひめ国体成年男子
第72回 愛顔(えがお)つなぐえひめ国体の成年男子に出場している高知県代表を応援するため、高知市と愛媛県八幡浜市を2往復してきました。
いろいろな方との再会もありましたが、2試合ともタイブレーカーに突入した高知県代表チームの戦いを振り返ってみたいと思います。
高知県成年男子チームの戦い
普段は高知パシフィックウェーブとして戦っているチームが、国体になると「高知県」としてユニフォームを変えて試合をします。
なんと今国体のために高知県の選手が身に付けていたユニフォームが、こちらの写真になります。
「何でピンク?」
「誰が選んだ?」
「お前か?」
と監督兼選手でこの国体に出場している岡本監督が、口の悪い先輩たちにからかわれていました(笑)
若い選手たちは「え、ピンク?」って思っても、監督が決めたことなので言えないので、代わりに言ってあげました(笑)
岡本監督の独特の勘なんでしょうけど、私達には理解できない選択でした。
組み合わせは悪く、1回戦は今を時めく平林金属を中心とする岡山県が相手でした。先攻の高知県は先頭バッターがセンターオーバーのホームランを打って、幸先のよいスタートをきりました。
しかし岡山県も1回裏の先頭バッターが、高知県のホームランを上回る打球のホームランを放ち同点となります。
どうなることかと思っていましたが、さすがに日本を代表する高橋投手と松田投手です。その後は得点を与えることなく試合は進んで、7回を終わって1-1の同点でタイブレーカーに突入しました。
8回表、バントでランナーを3塁に進めた高知県は、次のバッターのレフト前ヒットによって待望の追加点をあげることに成功します。
その裏の攻撃は3番松田選手からでした。これまでいいところで何回松田選手のホームランを見たことでしょう。
松田選手がバントで送ることは考えずらいですし、打ち取れれば高知県の勝ちが見えてくるし、打たれればツーランホームランでサヨナラ負けかな?と思って見ていました。
結果はショートゴロでワンアウトになり、セカンドランナーもそのままという最高の結果になりました。
そして4番バッターのセカンドハーフライナーに、セカンドランナーが飛び打だしてケッツーとなり試合終了。高知県としては最大の難敵を下して、準々決勝進出となりました。
なかなかの好ゲームでした。
私は座るところもなく、ライトのポールのところにあった次試合選手控えのテントで見ていました。
そこに愛知県のお手伝いとして参加していた、現トヨタ自動車男子ソフトボール部監督の江口さんと再会しました。彼とは昨年ここで開催された全日本総合で会って以来ですので、1年ぶりの再会になりました。
そこで会場に来ていた闘犬センターOBに連絡をしてみることにしました。まず連絡が取れたのが松浦さんで、その写真がこれになります。
岡山県代表には環太平洋大学の選手も入っていましたので、西村監督も会場に来ていました。電話はつながったのですが、ベンチの裏にいたようでこの場所に来ることはありませんでした。
高知県の監督の岡本さんと江口さんは、岡豊高校の同級生です。この2人が日本リーグのチームの監督をしていて、それもまだ現役でプレーしているってすごいことですね。
この試合には岡本さんがDPで出場していましたが、江口さんによると
「岡本のバッティング見るが、久しぶりや。」
と言って、興味深そうに見ていました。結果は凡打でしたけどね(笑)
翌日は雨で高知県の試合は順延になったとのこと。夜になって杉本さんから電話があって、結局準々決勝を見に行くことになりました。
相手は宮崎県(旭化成)でした。
初戦の岡山県の松田選手に比べると明らかに打てそうなピッチャーでしたが、高知県の高橋投手の調子も良くなくて、1-1の同点からフォアボール、デッドボール、満塁ホームランと続いて決定的な6点を加えらてしまいました。
雰囲気も流れも悪く、終わったかなと思って見ていました。けれどやっている選手は諦めていなかったんですね。
1点を返して7-2として、そして尾崎選手の満塁ホームランも出てついに7-7の同点に追いつきました。
コントロールが思うようにならない感じの高橋投手も、なんとか踏ん張ってくれていました。
惜しかったのは6回裏の先頭バッタ―がレフトオーバーを打って、3塁を欲張ってタッチアウトになってしまったことでしょうか。
ノーアウトでしたし、自分で打球や野手の動きが確認できるレフトへの打球でしたので、セカンドで止まっていたらと思ってしまいますね。
6回裏に1点取って、7回表を0点に抑えて勝つという絶好のチャンスを手放した瞬間でした。
タイブレーカーに突入した7回は1点ずつを取り合って8回に進みました。ここで先攻の宮崎県が2点を取って万事休す、その裏の高知県は結局0点に終ってしまい、この国体を5位という成績で終えることになりました。
この結果を一番喜んだのは愛媛県だったでしょう。愛媛県にとって一番嫌な相手は岡山県であり、高知県に苦手意識はないどころか得意にしている相手です。それでも高橋速水投手は警戒しなければいけない相手でしたが、その高知県も負けて準決勝の相手は宮崎県になった。これ以上の好条件がそろうことはまずないとまで言える結果だったのではないでしょうか。
岡山県の敗戦の一因はベンチ入りメンバーの数の少なさでしょうか。このことについては試合後平林金属の社長さんがFacebookでコメントされていましたね。
たった12名のベンチ入り。普段豊富な選手を上手に適材適所で使って勝っていた平林金属にとっては、使いたい時にベンチに選手がいない国体はやりずらかったのかもしれません。
これに対していつもとほぼ変わらない高知県は、普段通りの試合がでできたのかもしれません(笑)
選手層が薄いことが、こんな形で試合を有利に運ぶことがあるなんて面白いですね。
高知県が勝てない理由
これは簡単なことです。高知県が勝っていたころに比べると、チーム及び選手のレベルが下がっているからでです。
そして勝てない最大の理由は
「西村信紀がいない。」
ということです。どんな相手でも抑え込んでしまう、完全無欠なエースがいないと言ってもいいかもしれません。
ボールもバットも違いますから、単純比較は出来ません。そして時代も違う、今のピッチャーは大変なのは十分理解しています。
しかし、私が最近見たピッチャーの中では高橋速水投手のポテンシャルが一番高いように感じます。ただ西村信紀投手とはどこか違う、何か足らないものを感じてしまいます。
これは高橋速水投手を否定しているのではなくて、期待しているからあえて言わせてもらっています。そこは誤解しないで聞いてもらいたいです。
西村信紀と比べるつもりもないですし、比べても意味はありません。しかし高知県が、そして高知パシフィックウェーブが勝つためには、高橋速水投手が昔の西村信紀と同じような、いやチーム力が下がっている中で勝つためには、西村信紀以上の活躍をするしかないんだと思います。
どんな相手でも、どんな体調でも抑えてしまう絶対的エースになってもらいたいんですね。そのためにはどうすればいいのか?何が足りないのか?
その答えは私には分かりません。高橋速水投手自身はどう思っているのでしょうか?高橋速水投手は血液型がB型だと、国体の会場で聞きました。試合中の高橋速水投手の良く見せる、ちょっと大きなパォーマンスの理由は少し理解できたような気がしましたが、西村信紀さんと違った血液型を持つことで、西村信紀投手以上になる可能性があるんだと考えたいです。
同じ性格、同じ身体能力、同じ環境では、なれても西村信紀投手と同じレベルです。違うことを喜びましょう。そして生かしてください。
強みを生かすのか、それとも弱点を矯正するのか?大変だとは思いますが、なんとか階段を2つも3つも上がって、常に勝てるピッチャーになってもらいたいと思います。
がんばれ高知県、頑張れ高橋速水!
国体の試合では・・・
国体では抽選も審判も、地元を勝たせるためには何でもするというのが昔は普通でした。
抽選は地元がやって、強豪チームは全部反対ゾーン。1回勝てば準決勝。こんなことは当たり前でした(笑)今は厳正抽選になっています。ただ長い時間とお金をかけて準備してきた地元の方のためにも、せめてトーナメント表の一番上か、一番下には配置させてあげてもらえないでしょうかね?それくらいの特典はあっても、誰も文句は言わないと思いますけどね。
審判も昔はひどかったです(笑)開催県とやって痛い目にあったという国体選手はたくさんいると思います。
今回の成年女子の決勝戦を傍で見ていた方からの情報ですと、なかなかストライクゾーンが地元有利に判定されていた感じだったようです。ただこの方は愛知県の関係者ですので、どうしても相手有利な判定に見えてしまうことがありますので、あくまでもそういう印象を持たれたということです。
思い出話をさせてもらうと、国体ではド真ん中のストライクを「ボール」と言われたことがあります。ハーフスイングならまだしも、振り切っているのに「ボール」と言われたこともあります(笑)
本当に国体は何でもありでした。けれどそんなことをされて勝っても、後味の悪さが残って嬉しさは半減します。一生懸命やって負けたのであれば、それを受け入れられるのがスポーツだし、スポーツマンじゃないでしょうか?
天皇杯を獲得するためにみたいなことで、審判の判定までが地元有利になるなんておかしなことです。それもあきらかにセーフのプレーがアウトになったり、逆のことがたくさんありました。
これはあくまでも私個人の意見ですが、そんな審判は審判をやる資格がないと思いますし、なにがやりたくて審判になったのかと不思議になります。
眼の前のプレーを、ルールに基づいて正確に判定する。それが審判ですよね?そのジャッジに何らかの意思が加わって、違う判定をしようかと考える思考回路が回るなんてあり得ませんよね。
そんなことで選手が悲しまないことを願います。
多分日本初の出来事!
この国体で起こったことで、たぶん日本ソフトボール界で初のことがありました。
高知県の岡本監督兼選手が、この国体に選手として出場しました。彼は現在高知ソフトボール協会の理事長で、そして日本ソフトボール協会の理事でもあります。
正式には確認していませんが、その日本ソフトボール協会の理事さんが選手として大会に参加しているなんて、史上初の出来事だと思います。
これも偉業じゃないでしょうか?
さすがに昔のようにはホームランは打てなくなりましたけどね。
私の周りでは、
「理事が試合に出たら、いかんがじゃない?」
という声も聞こえてきますけど(笑)どうなんでしょうね?
今大会ライト前のヒット1本だけだったので、岡本理事からの圧力や周りの人たちの忖度はなかったようです(笑)