2022年7月号のソフトボールマガジンの特集は「飛ばす打撃」です。
スポーツの常識は常に変化しています。研究が進んで行くとこれまで常識とされていたものが、ある日突然非常識とされることも少なくありません。
水分摂取なんかそれの代表的なものですね。「水を飲むな!」「飲んだらばてる。」と言われる中、真夏の暑い日の練習中、隠れて飲んだ水の美味しかったこと(笑)
それがある日「水分を摂らないと運動能力が低下する。」「定期的な水分摂取が必要。」とされ、休憩中に誰の目も気にすることなくゴクゴク飲んでお腹がタプタプして動けなくなってしまったりもしました。
最近の酷暑(35度を超える)では水分摂取というよりは、こんな気温の下で運動してはいけないと思うことの方が多くなったのが心配ですけどね。
何故飛ぶのか?
打ち方もずいぶん変わりました。「フライボール革命」これも研究で明らかになったことですね。もう私のように過去の遺物のような人間が、打撃理論うんぬんをたれる時代でもありません。
ただ以前から何度も言ってきましたが、この「飛ぶ」ことに関してはバットの進化が大きく影響しているのは間違いないと思っています。
バットが軽くて飛ぶようになったんです。昔の軽いバットは飛ばなかったんです。非力なバッターはその軽いバットで軽打やスラップ、セーフティーバンドなどを使って、自分を生かすやり方をしていました。パワーのあるバッターは重くて飛ぶバットを振り回して、長打を打っていましたよね。良い言い方をすれば自分の身体的特徴を理解して、それぞれが自分に合ったバットを選択して自分にあったスイングをしていたんだと思います。
ところがメーカーさんが研究に研究を重ねて、軽くて飛ぶバットを世に出してきました。これによってあまりパワーがなくても、芯で打ちさえすれば長打が打てる可能性が出てきました。パワーのあるバッターはこれまでよりずいぶん軽いバットを使えますので、スイングスピードがさらにアップしました。ウエイトトレーニングなんかも盛んになってきて、選手の身体作りも進化しました。
これでボールが飛ばないはずがありません。ピッチャー側からしたらたまったもんじゃありませんよね。軽くコツンと当てられた打球がフェンスを越えて行く。ルールが変わって飛んでも(ジャンピング・ツーステップ)良くなった以外、ピッチャー側に有利な変化はありません。
バッター側には軽くて飛ぶバット、手や足には痛くないようにいくつものプロテクターがあります。これってあまりにも不公平じゃないんですかね?
女子と男子
女子のJDリーグなんかを見ていると、多くの選手が早めにステップを終えて止まったような状態でボールが来るのを待っています。きちんと壁が作られて上半身と下半身に割れもあって、そして鋭くバットが振れていれば頭(目)もぶれなくて良いスイングが出来るかもしれませんが、体重移動をほとんど使っていないのは事実だと思います。
あれでフェンスオーバーが打てるバットがあるから、あの打ち方が多くなってきたんじゃないんでしょうか?と私は個人的に思っています。女子には女子のやり方があっていいと思うので、決して否定しているつもりはありませんのでご理解くださいませ。実際女子のことは分からないんです。
一方男子には女子のよう待ち方、打ち方をしている選手は少ないように思います。ピッチャーのボールも球威、スピードも上がりますし、飛ぶバットとは言っても体重移動も使ってスイングスピードを上げて打たないと、強い打球、遠くに飛ばす打撃は出来ないような気がします。
革ボールに関してはバットの反発係数の制限が入りましたので、ちょっと以前よりは飛ばないような感じもありますが、初速の速さはあまり変わっていないようにも思います。もう怖くて年寄りはバッピなんか出来ませんよね(笑)
ゴムボールはそんな制限はないので、「どうしてそんなに飛ぶの?」「ゴムボールの音じゃないよね!」と思うような打球がたくさん出現し続けています。困ったもんです。
見ている側からするとホームランがたくさん出るゲームは面白いんですが、一番から九番まで全員がバットを振り回してホームランを狙っている試合ってどうなんでしょうね?昔に比べて大味な試合が増えたと感じるのも、このあたりに原因があるような気がしませんか?
やっぱりこんな軽くて飛ぶバットを作ったメーカーが悪い!(笑)(笑)(笑)