【2017女子ソフトボールリーグ】1部高知大会よもやま話
平成29年10月7日(土)から8日(日)の2日間、高知県で初めて日本女子1部ソフトボールリーグが開催されました。
今年から会場が増えて、その1会場に高知が選ばれた(?)ということでしょう。女子ソフトボールの盛んでない高知で、お金を払って女子のソフトボールを見に来る人がいるのか?という危惧もありましたが、試合会場となった春野運動公園ソフトボール専用球場のスタンドは、両日ともまずまずの入りとなったようです。
赤字も覚悟していた高知ソフトボール協会のみなさん、良かったですね。お疲れ様でした。
強豪チームは2日前入り
今回の高知大会に参加したのは、日本の絶対的エースを擁するビックカメラ高崎 BEE QUEENと、Honda Reverta、豊田自動織機 シャイニングベガ、戸田中央総合病院 Medicsの4チームでした。
全チームの行動を把握しているのではありませんが、前日のドーム練習(当日は雨でした。)は各チーム1時間半という時間が設定されていましたので、前日には間違いなく到着していましたし、豊田自動織機 シャイニングベガは前々日に高知入りしていることを確認しています。
私たちが男子のリーグに参加していたころは、前日の夜宿舎に到着することが普通で、前の日に練習した記憶はありません。これなんかも男子と女子の差なんでしょうね。
後輩たちも高知入り
元デンソーの監督だった森澤さんが、高知ソフトボール協会のアドバイザーとして5日(木)に高知入りしていました。実はもっと前に来る予定だったのが、高知ソフトボール協会の岡本理事長が世界選手権の日本代表の監督で参加したりと、なかなか日程の調整がつかずこの時期なったということです。
5日は久しぶりにご一緒して、ご飯を食べながら現在・過去・未来の話をしながら、楽しい時間を過ごさせていただきました。11月に愛知でご一緒する機会がありますので、そこでまた続きをやりたいと思っています。
写真は6日(金)のドーム練習で、現在女子の全日本監督の宇津木さんと話ながら、ビックカメラ高崎 BEE QUEENの練習を見ているところです。
次は現在豊田自動織機 シャイニングベガでコーチをやっている山崎泰稔さんです。チームに帯同して5日に高知入りしてきました。立派になっての凱旋帰国といったところでしょうか(笑)
お忙しいのでちょっとだけ呼びだしてお話をさせていただきました。松山大会の時にも会っていますので、そんなに久しぶりという訳ではありませんが、高知で彼と会うのは相当久しぶりということになります。
前回松山でお目にかかった時はホテルのロビーまで迎えに行って、その時に山崎さんがど緊張している姿をチームの選手に見られました。
「そんなに緊張してどうしたんですか?」
「とっても恐い先輩なが!」
という情けない姿をもう見させてはいけないと思って、外で会いました(笑)高知なので、ここに来いって言えるし、そこがどこかすぐに分るしなんですけどね。
お二人とも女子の1部の日本リーグの監督も経験されて、まだ先輩ずらはしていますが実績は彼らの方がずっと上になってしまいました。素晴らしいことです。
もう一人は日本ソフトボール協会からリーグ担当で派遣された仁井田さんです。元デンソーで活躍されて、現在は日本ソフトボール協会に派遣という形で勤務されています。
豊田自動織機がドームで練習しているのを見に行っていたら、高知ソフトボール協会の岡本理事長が
「仁井田さんを空港に迎えに行って下さい!」
と言うではありませんか。
「仁井田さんは知ってますよね?」
知ってますとも、彼は高知西高校の出身で私の2個後輩になります。けれど彼も立派になられて、私が上なのは年齢だけになりました。
「理事長の命令なら、行くしかないでしょう。」
と仁井田さんをお迎えに、高知空港まで車を飛ばしました。
みなさん、本当に偉くなりました。この私を顎で使い、足に使い、財布にする訳ですから(笑)
やはり日本は上野頼りか
高知大会は2日間で6試合が行われました。私は都合で7日(土)の1試合目ビックカメラ高崎 BEE QUEEN対豊田自動織機 シャイニングベガ戦しか見ることが出来ませんでした。
この試合で上野投手のピッチングを見ることが出来たのは良かったです。前日森澤さんから
「さすがに上野も、全盛期の時のようなボールは来てませんね。」
「落ちたとは言え、それでも他のピッチャーとはレベルが違いますけど。」
というようなことは聞いていました。
実際見てみるとやはり一人だけ違うボールを投げているように感じました。球速はそれほど違うというほどではないんですが、ボールの力、球威と言えばいいんでしょうか、それが他の女子のピッチャーとは違うように思えました。
全盛期は女子の中に、一人男子のピッチャーがいるという感じでしたが、そこまでの違いを感じないということは、他のピッチャーの力も上がってきているのでしょうし、上野投手の力も落ちているということじゃないでしょうか。
ただこの高知大会でのビックカメラの3試合は、すべて上野投手が投げていました。現在首位を走っていて、取りこぼしは出来ないということもあるでしょうが、やはり頼れるのは上野投手だけということになっているみたいです。
闘犬センター時代の、西村信紀投手の姿とダブって見えてしまいました。
一つ感心したのは、何か自分の思ったようなボールが行かなかった時や、大事な場面になると上野投手はマウンド上で何かブツブツしゃべって、これからやることを再確認しているようでした。自分に言い聞かせていたのかもしれませんね。
上野投手がそれくらい丁寧に投げているのであれば、他のピッチャーはそれ以上に「この場面はどうするんだ。」とか「絶対にここに投げるんだ。」とかを自分で確認して、投げるようにしないといけないんじゃないでしょうか?
抑えてやろうという気負いや、打たれるのではないかという不安などのメンタルの揺らぎは手元を狂わせ、力みを生みます。
そんな中でベストピッチをするためには、上野投手ですらマウンドでブツブツ言って再確認しているんだと思います。
ブルペンで投げていた15番や18番のピッチャーは、将来を期待されたピッチャーです。体格的にも上野投手に引けをとらないくらいの体格をしています。
しかし投げているボールは女子のボールですね。仕方ないですよね、女子なんですから(笑)
ただ普通の女子だと、海外それもアメリカに勝てないんです。オリンピックの金メダルが狙えなくなってしまうんですよね。
ただ一つだけ危惧するのは、このように大投手が存在すると控えのピッチャーが育たない、潰れていくことがあるということです。
闘犬センターもそうでしたが、西村信紀がいれば大事な試合になると、どうしても西村信紀を使うことになります。ピッチャーは試合で投げてこそ成長します。打たれて覚え、抑えて自信をつける。これは練習では絶対獲得できないものだと思います。それで優秀な、エースになれる可能性を持ったピッチャーが試合で投げる機会がなくて、育たなかったという過去があります。
優勝は応援してくれている会社やファンのためにもしなければいけないものでしょうけど、日本の将来のためにはこの可能性を秘めた若いピッチャーたちに、大事な場面でマウンドを任せてもらいたいなと思いました。
チャンスはそんなにあるものではありませんし、与えてもらうものでもないと思います。15番濱村 ゆかり投手や18番中野 花菜投手は、投げさせてもらえない悔しさをバネにして、もっともっとすごいボールが投げられるようになってもらいたいものです。
フリーバッティングでは気持ち良く飛ばしていた日本のバッターたちが、上野投手の前ではその球威に押されてまともにクリーンヒットしないのを見てしまうと、日本の打撃陣のパワー不足を痛感しないわけにはいけません。
世界と戦えるレベルの選手をもっともっと増やして、競争させるくらいの層の厚さが欲しいですね。
東京オリンピック、大丈夫かな?
こんな選手も高知に来ていました。
高知大会が終了した翌日の朝電話が鳴りました。
元ホンダエンジニアリングで活躍されて、現在は城西大学の男子ソフトボール部の監督をされている蟹沢さんからの電話でした。
「もう終わったんですけど、うちの娘がホンダで高知に行ってました。」
「水曜日まで高知にいるみたいなんで、一応連絡しておこうと思って。」
オイオイ、早く言わんかい!です(笑)
息子ならお酒でも飲みに連れて行くところですが、娘さんですし、初対面ですし、実業団の女子は男子のように自由ではないでしょうからと、差し入れくらいにさせてもらうことにしました。
岡本理事長に練習しているのを確認して、ソフトボール専用球場に行くとホンダが練習していたので、緊張しながらそこにいた選手に
「蟹沢さんはいますか?」
と声をかけて、呼んでもらいました。
ティーバッティングをしていたのに手を止めて、一人のかわいい選手が走って来てくれました。
お父さんの古い知り合いであることを告げ、ささやかな差し入れをお渡ししました。
「男の子やったら、飲みに行ったのにね。」
と言うと
「お酒飲めないので!」
と笑顔で断られてしまいました(笑)
笑うとお父さんの面影がある、すごくかわいい娘さんでした。こんな時代になったんだなあと思いながら、一瞬で振られてしまったショックで足取りも重く会社に帰りました(笑)
次回は彼女が試合で活躍している姿を見たいと思います。