アピールプレイには、いろいろな場面が想定されます。少し詳しく紹介してみましょう。
ランナーが塁を空過したら
質問:ランナー1塁で、バッターが3塁打を打ちました。1塁ランナーが2塁を空過し、ランナーの触塁を確認していた審判員が「アウト」を宣告しました。この宣告は正しいでしょうか?
答え:塁の空過はアピールプレイの対象であり、審判員はランナーの触塁を確認し、ランナーが塁を空過していたとしても、その時点で「アウト」を宣告することは出来ません。守備側からアピールがあった場合にのみ、判定を行います。
このケースはアピールプレイと、ルールブック8-6項(走者がアウトになる場合)の21(走者が進塁または帰塁するとき、塁を空過したとき)が関係しています。
タッチアップが早かったら
質問:ワンアウト3塁で、バッターが外野フライを打ち上げ、この打球を捕球しようとした外野手が打球に触れる前に、タッチアップから本塁を狙った3塁ランナーがスタートを切りました。ランナーはアウトを宣告されるでしょうか?
答え:フライの捕球に対してランナーの離塁が早過ぎたかどうかは、アピールプレイの対象であり、審判員は野手がフライを捕球する(グラブに触れる)前にランナーが塁を離れたかどうかを確認し、守備側からアピールがあった場合にのみ、判定を行います。審判員は、守備側からのアピールを待たなければいけません。
このケースはアピールプレイと、ルールブック8-6項の22(走者が捕球された飛球(ラインドライブを含む)が野手に触れる前に、進塁のために塁を離れたとき。(タッチアップが早過ぎたとき)が関係しています。
アピールが遅かった?
質問:7回表、3対3の同点。ツーアウト2塁からバッターがセンター前ヒットを放ち、2塁ランナーが生還した。審判員は、2塁ランナーが3塁を空過したのを確認していたが、守備側のプレイヤーは気がついていないようだった。全ての守備者がフェア地域を離れた後、ベンチにいた控え選手がランナーの塁の空過を指摘し、三塁手が3塁に戻り、空過のアピールをしました。このアピールは認められるでしょうか?
答え:攻守交代ですべての守備者がフェア地域を離れた時点で、守備側のアピール権は消滅します。2塁ランナーはアウトにならず、得点は認められます。
このケースもアピールプレイと、ルールブック8-6項21が関係します。
アピールと不正投球、どっちが優先?
質問:バッターが2塁打を打ったが、1塁を空過しました。1塁手がランナーの塁の空過に気づき、それをアピールするため、ピッチャーにボールを1塁に送球するよう要求しました。次の投球姿勢に入っていたピッチャーは、投手板に足を触れたまま1塁に送球し、1塁手が空過をアピールしました。このアピールは認められるでしょうか?
答え:アピールは認められません。ピッチャーはボールインプレイ中、投球姿勢をとった後、足を投手板に触れたまま塁に送球してはいけません。ピッチャーがアピールプレイのため投手板を外す場合は、両手を離す前に、両足を投手板の後方に外さなければいけません。このケースでは「不正投球」となり、守備側はアピール権を失い、ボールデッドになります。次のバッターにワンボールが与えられ、この2塁打で出塁した2塁ランナーには3塁が与えられます。
このケースは複雑で、ルールブックのアピールプレイと、6-7項(塁への送球)1(投手はボールインプレイ中に、投球姿勢をとったのち、足を投手板に触れたまま塁に送球してはならない。)2の(3)アピールプレイをしようとしたとき。)さらに8-6項の21が関係します。
このように1つのプレイの判定に、いくものルールが関係していることがありますので、気をつけてくださいね。