ソフトボールマガジン2017年8月号は
「変化球の達人になる!」
がメインテーマのようです。
女子の変化球の投げ方
巻頭はカラー特集で、NECプラットホームズの浦野監督の指導で、NECの3人のピッチャーが
「初心者のための変化球講座」
と銘打って、変化球の投げ方を教えてくれています。
今年はまだ応援に行けてないですが、2部に降格したものの現在2部では無敗の強さを発揮して、1年での1部復帰を目指して頑張っているようです。
9月には応援に行く予定にしていますので、再会を楽しみにしています。
手が小さくて、パワーのない女子がボールに上手に回転を与えて、ボールを変化させているのを見ると感心しますね。私のように「力に頼る」投げ方しか出来ない者にとっては、全く違った世界の話のようでもあり、女子のピッチャーの指導(特に変化球の指導)は難しいです。
女子選手にはもってこいの指導になっているのではないでしょうか。
指導者が説く変化球論
続く特集はNECプラットホームズの監督であり、元群馬教員のピッチャーだった浦野さんのインタビュー記事になります。
浦野さんの選手としての経歴や、高校の指導者になってからの経験、実業団(太陽誘電・NEC)での指導経験から、変化球論を展開されています。
豪のイメージの三宅さん(現日本ソフトボール協会副会長)に対して、柔のイメージのあった浦野さんでした。
この記事にある群馬教員と闘犬センターの試合は、大阪球場で行われた総合選手権(各大会の優勝チームが集まって、実力日本一を決める大会でした。)での決勝戦のことです。
この試合群馬教員の先発は浦野さんでした。群馬に2点取られて、闘犬センターの打線は浦野さんの変化球を打ちあぐねていました。
回は進んで7回2アウトまできていました。ここからドラマは始まりました。
2アウトランナーなしから、田中雄二さん、佐竹明人さんが連打で出塁しました。続くバッターは私でした。定かではありませんが追いこまれたような記憶が残っています。
そして次の内角のボールを打ったのですが、詰まったレフトフライになっていました。
「あ~ダメか!」
と思いましたが、見ているとレフトの動きがおかしいのに気が付きました。詰まった当りなのに最初バックしたんです。打球を見誤ったんだと思います。一旦下がってから慌てて前に出てきましたが、ボールはグラブの先にポトリと落ちてヒットになり、同点に追いついて延長戦になりました。
浦野さんの記事にある「ポテンで始まり」のポテンは、私のヒットになります。浦野さんにすれば、レフトさえちゃんと取っていれば優勝投手だったのにと思う打球でした。
一度このことを聞いたことがありますが、「終わったと思った。」と言っていました。
延長戦になってもドラマは続きました。
ランナーが一人出て、私の打席が回って来ました。そこで当時の田中規夫監督が近づいて来て、
「お前で勝負するぞ!」
と言いました。定石通りのバントで送ってではなくて、打てと言われたと思いました。まあ相手レフトの判断ミスではありましたが、同点打は同点打です。何かこの試合は私にチャンスの目があると監督は感じたのかもしれません。
バッタボックスに入って監督のサインを見たら、「ヒットエンドラン」のサインが出てました。これならバットを振らないわけにはいかないですね。大事な時に弱気が出る私を良く知っている田中規夫監督らしいサインでした。
来たボールは頭の高さのライズボールでした。そのボールを必死で上から叩いたバッティングの写真がこれになります。
キャッチャーの高井さんのミットの位置を見ても、かなり高いくそボールだったことが分かりますね。まさか浦野さんもこんなボールを打ってくるなんて思ってもなかったんだと思います。
この打球がレフト線を抜けて2塁打となって、闘犬センターがついに逆転、その後1点追加して試合終了となり、初の実力日本一の座についた私にとっても思い出深い試合でした。
浦野さんにとっても忘れられない試合だったんですね。またバッティングピッチャーして、恩返ししますので許して下さい(笑)
60歳を超えて、両膝が曲がっていても、まだ自分でバッティングピッチャーをやれているのは、いろいろな投げ方を知っているからだなあと、改めて感じさせられるインタビューになっています。
男子日本代表投手の変化球
今年7月の世界選手権に日本代表として参加する山脇投手(デンソー)と、客野投手(愛媛ウエスト)の二人が、男子らしい変化球の投げ方、考え方について詳しく教えてくれています。
浦野さんのインタビューにもありましたが、昔はこのような変化球の投げ方、握り方を教えてくれる機会はありませんでした。見て真似する、盗む(笑)などが主な方法だったのではんかったでしょうか。それが今はいろんな媒体や講習会などで、優しく丁寧に教えてくれる機会が多くあります。羨ましい限りです。
合う合わないはありますが、このような一流のピッチャーがやっていることは一度チャレンジしてみる価値はあります。是非やってみて下さいね。
それにしても、細身の左ピッチャーの腕振りはどうしてこんなにしなやかなんでしょうか?同じような体型でも、右ピッチャーでは腕がムチのようにしなるようなタイプは、あまり出て来ません。何か違いがあるのでしょうか?
この2人の、世界選手権での活躍も祈っています!
初めての変化球練習法
昔戦った馬場投手(現岡住コーチ)が、女子の高校生に変化球の練習法を紹介しています。彼には何度も苦杯をなめらされました。その彼が初めて変化球を練習するピッチャーに、どのようなことに注意して練習すればいいかを、丁寧に指導しています。
これを見ると女子にはこうやって指導したらいいんだということが良く分かりますね。こんな指導法をどこで身に付けたのか聞いてみたいものです。
彼との対戦で思い出深いのは、追い込まれてチェンジアップを投げられて三振することが多かったので、必死でクセを見つけようと試合を見てやっとそのクセを見つけました。
チェンジアップの時は握りを見られたくないためなのか、右手がなかなかグラブから出てこないんです。ストレートやドロップの他の球種とは明らかに違いました。追い込まれてからのチェンジアップだけが分かればよかったので、追い込まれたら右手がグラブから出てこなければチェンジアップだから、カットしてファールにするなり、意表をついてバントするなりしろと指示をしたことでした。
しかしその頃の選手たち(高知パシフィックウェーブの岡本監督やトヨタ自動車の江口監督たち)は、そんなことをしなくても打てる、勝てるという自信があったのか、なかなかその対応をしてくれず、相変わらず馬場投手のチェンジアップに三振していました(笑)
捕手出身監督の変化球配球論
変化球特集の最後は園田学園女子大学の木田京子監督の捕手目線での、変化球配球論になっています。
コントロールが良くて、変化球にキレがあるピッチャーは、受けているキャッチャーにとっても面白いピッチャーじゃないかと思いますね。逆にボールは速いけれどコントロールが悪くてどこに来るのか分からない、変化球の軌道は安定せずに、下手をするとワンバウンドするようなボールが多くなるようなピッチャーは、キャッチャーをしていても楽しくないと思います。
組み立てどころではないですからね。
ソヒトボールはピッチャーの出来、不出来がその試合の勝敗を決めると言っても過言ではないですが、ピッチャー一人で試合が出来るものでもありません。好投手の横には必ず良い女房役のキャッチャーがいるものです。
西村信紀投手には森澤捕手、大村投手には阿部捕手(大型バッテリーでした)、宮平投手には宮城捕手などが思い浮かびますね。
男子日本代表特集
7月に迫った男子の世界選手権に出場するメンバーの紹介がされています。岡山での国内最終合宿を終えて、心はもう戦いの場所に飛んでいるのではないでしょうか?
是非世界の強豪を倒して、優秀な成績をおさめて帰国してもらいたいと思います。
女子は日米対抗が連日テレビで放送されていました。男子は優勝してもテレビのスポーツニュースになることはないと思いますが、頑張ってきて下さい。